2015年02月15日
ショルティ&シカゴ響のメンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」&第4番「イタリア」
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本盤には、メンデルスゾーンの交響曲第3番及び第4番という人気交響曲がカップリングされているが、いずれもショルティならではの素晴らしい名演と高く評価したい。
我が国におけるショルティの評価は不当に低いと言わざるを得ない。
現在では、歴史的な名盤と評されているワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」以外の録音は殆ど忘れられた存在になりつつある。
これには、我が国の音楽評論家、とりわけとある影響力の大きい某音楽評論家が自著においてショルティを、ヴェルディのレクイエムなどを除いて事あるごとに酷評していることに大きく起因していると思われるが、かかる酷評を鵜呑みにして、例えば本盤の演奏のような名演を1度も聴かないのはあまりにも勿体ない。
ショルティの様々な楽曲の演奏に際しての基本的アプローチは、強靭なリズム感とメリハリの明瞭さを全面に打ち出したものであり、その鋭角的な指揮ぶりからも明らかなように、どこをとっても曖昧な箇所がなく、明瞭で光彩陸離たる音響に満たされていると言えるところだ。
こうしたショルティのアプローチは、様相の変化はあっても終生にわたって殆ど変わりがなかった。
したがって、楽曲によっては、力づくの強引さが際立った無機的な演奏も散見され、それがいわゆるアンチ・ショルティの音楽評論家を多く生み出す要因となったことについて否定はできないと思われるが、それでも、1980年代以降になると、演奏に円熟の成せる業とも言うべき奥行きの深さ、懐の深さが付加され、大指揮者に相応しい風格が漂うことになったところだ。
本盤の両曲の演奏においても、そうした聴き手を包み込んでいくような包容力、そして懐の深さには大なるものが存在していると言えるところである。
スコットランドやイタリアの情景描写などとは無縁の、あくまでも絶対音楽としての交響曲を意識した演奏ではあるが、それだけに演奏全体の堅牢な造型美、そしてスケールの大きさには絶大なるものがあると言えるだろう。
もちろん、両曲には、例えば第3番について言えばクレンペラー&フィルハーモニア管弦楽団による名演(1961年)、第4番について言えばトスカニーニ&NBC交響楽団による名演(1954年)など、他に優れた演奏が数多く成し遂げられており、本演奏をベストの演奏と評価することはなかなかに困難であると言わざるを得ないが、一般的な意味における名演と評価するにはいささかも躊躇するものではない。
シカゴ交響楽団の巧さも特筆すべきであり、本名演に華を添える結果となっていることを忘れてはならない。
音質も、1985年のスタジオ録音であるのに加えて、英デッカによる超優秀録音であること、そして、今般、ルビジウム・クロック・カッティングがなされたことにより、十分に満足できるものとなっている点についても付記しておきたい。
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