2015年02月01日
ノイマン&チェコ・フィルのドヴォルザーク:スラヴ舞曲全集、スラヴ狂詩曲集[SACD]
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本盤には、ノイマンがチェコ・フィルを指揮してスタジオ録音(1971年)したドヴォルザークのスラヴ舞曲全集とスラヴ狂詩曲集が収められている。
同曲は、ノイマンの十八番とも言うべき得意中の得意とする楽曲であり、本盤を皮切りとして、その後も手兵チェコ・フィルとともに、1985年、そして1993年にもスタジオ録音を行っている。
3度も同曲をスタジオ録音したのは、現時点においてもノイマンただ1人であり、これは、いかにノイマンが同曲を深く愛していたかの証左であるとも考えられるところだ。
それはさておき、ノイマンによる3つの演奏の中で、最も優れているのは1985年の演奏、次いで1993年の演奏であることは論を待たないところであるが、本盤の演奏も、決して凡庸な演奏ではなく、若きノイマンによる素晴らしい名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。
本盤の演奏は、3種の演奏の中で最も若い時期のものであるだけに、後年の演奏よりも、躍動感溢れるリズムや畳み掛けていくような気迫においては勝っていると言えるだろう。
演奏の持つ味わい深さや彫りの深さにおいては、後年の演奏には到底敵わないが、楽曲がスラヴ舞曲集であるだけに、そうした点は必ずしも演奏全体の瑕疵には繋がらないと言える。
それにしても、後年の演奏もそうであるが、ノイマン&チェコ・フィルによるスラヴ舞曲集の演奏は、何故にこれほどまでに魅力的なのであろうか。
ノイマンの同曲へのアプローチは、基本的には楽想を精緻に描き出していくというオーソドックスなものと言えるだろう。
もっとも、オーソドックスと言っても、それはノイマンがチェコ人であるとともに、チェコ音楽を数多く指揮してきた者として、チェコ音楽が血となり肉となっている指揮者であるということを忘れてはならない。
要は、ノイマンが何か特別な個性を発揮したりしなくても、ごく自然体の指揮をすれば、スラヴ舞曲集の理想的な演奏に繋がるということを意味するところであり、ここにノイマン&チェコ・フィルによるスラヴ舞曲集の演奏が魅力的である最大の要因があると言えるところだ。
そして、本演奏の録音時点では、ノイマンがチェコ・フィルの音楽監督に就任してから間もない頃ではあるが、ノイマンもチェコ・フィルをしっかりと統率しており、加えて、チェコ・フィルの弦楽合奏をはじめとした音色の美しさが、ノイマンによる本演奏に更なる深みと独特の潤いを付加するのに大きく貢献しているとも言えるところであり、その意味では、ノイマン&チェコ・フィルのその後の実りある関係を予見させるような名演とも言えるのではないだろうか。
カップリングされているスラヴ狂詩曲集も、そもそも録音自体が珍しい楽曲であるだけに、ノイマン&チェコ・フィルの演奏は単に名演であるだけにとどまらず、極めて稀少価値のある演奏ということが言えるだろう。
そして、今般のSACD化によって、圧倒的な高音質化が図られたことも、本盤の価値を高めるのに大きく貢献していることを忘れてはならない。
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