2023年01月29日
重厚でシンフォニック🎵オーケストラを存分に鳴らして❤️🔥濃厚さの極みと言うべき内容豊かな音楽を展開🪟ベーム&ベルリン・フィル🤝シューベルト:交響曲全集
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本盤に収められたシューベルトの交響曲全集は、ベームのいくつか存在している様々な作曲家による交響曲全集の中でも、モーツァルトの交響曲全集と並ぶ最高傑作と言ってもいいのではないだろうか。
そして、シューベルトの交響曲全集については、現在に至るまで様々な指揮者が録音を行ってきたが、ベームによる本全集こそはそれらの中でトップの座に君臨する至高の名全集と高く評価したい。
ベームは、交響曲第8番「未完成」及び第9番「ザ・グレート」については、本盤の演奏以外にも複数の録音を遺している。
交響曲第8番「未完成」についてはウィーン・フィルとの演奏(1977年)、第9番「ザ・グレート」についてはウィーン・フィルとの演奏(1975年東京ライヴ録音)やシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏(1979年ライヴ録音)の方をより上位の名演に掲げたい。
むろん本盤の演奏もそれらに肉薄する名演であり、本全集の価値を減ずることにはいささかもならないと考える。
なお、LPの全集では収録されていた劇音楽「ロザムンデ」からの抜粋が収められていないのはいささか残念であるという点は敢えて指摘しておきたい。
本盤の演奏におけるベームのアプローチは、例によって重厚でシンフォニックなものだ。
全体の造型はきわめて堅固であるが、その中で、ベームはオーケストラを存分に鳴らして濃厚さの極みと言うべき内容豊かな音楽を展開している。
もっとも、ベームの演奏は必ずしも剛毅さ一辺倒ではなく、むしろ堅固な造型の中にも豊かな情感が満ち溢れており、いい意味での剛柔併せ持つバランスのとれた演奏と言えるだろう。
私見ではあるが、ベームによるシューベルトの演奏は、ウィーン風の抒情に満ち溢れた名演の数々を成し遂げたワルターによる演奏と、剛毅で古武士のような風格のあるクレンペラーの演奏を足して2で割ったような演奏様式と言えるのかもしれない。
そして、ベームのしっかりとした統率の下、素晴らしい名演奏を披露しているベルリン・フィルについても言及しておかないといけないだろう。
本演奏は、1963〜1971年のスタジオ録音であるが、この当時のベルリン・フィルは、終身の芸術監督カラヤンの下で、いわゆるカラヤン・サウンドに満ち溢れた重厚でなおかつ華麗な名演奏の数々を成し遂げるなど、徐々にカラヤン色に染まりつつあったところだ。
しかしながら、本演奏では、いささかもカラヤン色を感じさせることなく、ベームならではのドイツ風の重厚な音色で満たされている。
かかる点に、ベルリン・フィルの卓越した技量と柔軟性を大いに感じることが可能であり、本名全集に大きく貢献しているのを忘れてはならない。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2023年01月29日 08:22

2. Posted by 和田大貴 2023年01月29日 08:27
実に風格のある演奏です。堂々としたスケールを持ちながら、細かい部分にまで心が行き届いていて、シューベルトの交響曲から交響的厚みと重量感とを豊かに引き出しています。シューベルトはベームがもっとも愛好した作曲家であり、それだけにシューベルトの様式を知りつくし、強い共感と作品に対する無類の誠実さに貫かれている、なんとも美しい名演ばかりですね。ワルターとは対照的な表現で、シューベルトとしては、全体にがっしりとした骨組で、やや武骨な感じもしますが、整然たる美しさをもった演奏です。どの曲にも素朴な心情とあたたかい感情が流れており、「未完成」や第9番はもちろんのこと、第1番などの見事なほどに音楽的で純粋な表現にも魅了されます。あくまでも楽譜を忠実に再現し、正攻法で作品に挑んでいるところが、いかにもベームらしく、悠揚とした足取りと自然なアゴーギクによって、シューベルト独自の旋律がのびのびと息づき、造型は一分の隙もなく、内部に素朴な力を宿しています。シューベルトに不可欠なヒューマンなぬくもりが示されていますが、それよりもベルリン・フィルがベームの手にかかると俄然ドイツ的な響きに変容するのが不思議です。この名演揃いの全集から、ベームの芸術的特質のすべてが窺え、ここにはベームの芸術のすべてが含まれているといってもいいでしょう。