2023年01月28日
💮引き締まった隙間風の吹かない分厚い響き🔊強靭さが漲る濃厚さの極み💪🏿内容豊かな音楽を展開🎶ベーム&ウィーン・フィル❤️🔥ブラームス:交響曲全集
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本盤にはベーム&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲全集が収められている。
ベームは、本演奏以外にもブラームスの交響曲を単独でウィーン・フィルのほかベルリン・フィルやバイエルン放送交響楽団などと録音しており、全集という纏まった形でのスタジオ録音としては、本全集が唯一のものと言えるところだ。
本全集に収められた楽曲のうち、第1番についてはベルリン・フィルとの演奏(1959年)に一歩譲るが、その他の楽曲については、ベームによる最高の名演と言っても過言ではあるまい。
本全集を聴いていて思うのは、ベームの芸風とブラームスの楽曲は抜群の相性を誇っているということである。
ベームは、本全集のほかにも、前述の第1番の1959年の演奏や、バックハウスと組んでスタジオ録音したピアノ協奏曲第2番の演奏(1967年)など、圧倒的な名演の数々を遺しているのは、ベームとブラームスの相性の良さに起因すると考えられるところだ。
ベームの本盤の各楽曲の演奏におけるアプローチは、例によって重厚でシンフォニックなものだ。
全体の造型はきわめて堅固であるが、スケールも雄渾の極みであり、テンポは全体として非常にゆったりとしたものである。
そして、ベームは、各楽器セクションを力の限り最強奏させているが、その引き締まった隙間風の吹かない分厚い響きには強靭さが漲っており、濃厚さの極みと言うべき内容豊かな音楽を展開している。
かかる充実した隙間風の吹かない重厚な響きをベースとした質実剛健たる演奏が、ブラームスの各楽曲の性格と見事に符号すると言えるのではないだろうか。
演奏は、1975〜1977年のスタジオ録音であり、この当時のベームによる一部の演奏には、持ち味であった躍動感溢れるリズムに硬直化が見られるなど、音楽の滔々とした淀みない流れが阻害されるケースも散見されるようになる。
本演奏には、そうした最晩年のベームが陥ったリズムの硬直化がいささかも見られず、音楽が滔々と淀みなく流れていくのも素晴らしい。
また、各曲の緩徐楽章や、第2番及び第4番の緩徐箇所における各旋律の端々から漂ってくる幾分憂いに満ちた奥深い情感には抗し難い魅力に満ち溢れている。
これはベームが最晩年になって漸く到達し得た至高・至純の清澄な境地をあらわしていると言えるのかもしれない。
併録のハイドンの主題による変奏曲における、各変奏曲の描き分けの巧みさは老巨匠ならではの圧巻の至芸と言える。
アルト・ラプソディにおいては、クリスタ・ルートヴィヒやウィーン楽友協会合唱団による渾身の名唱も相俟って、スケール雄大な圧倒的な名演に仕上がっていると評価したい。
そして、特筆すべきは、ウィーン・フィルによる美しさの極みとも言うべき名演奏である。
とりわけ、第1番第2楽章におけるゲアハルト・ヘッツェルによる甘美なヴァイオリン・ソロのあまりの美しさには身も心も蕩けてしまいそうだ。
いずれにしても、かかるウィーン・フィルによる美演が、ベームの重厚でシンフォニック、そして剛毅とも言える演奏に適度な潤いと深みを与えているのを忘れてはならない。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2023年01月29日 08:50

2. Posted by 和田大貴 2023年01月29日 08:55
ベームの指揮は非常に強力で、彼の理念と技術がすべてに深く浸透しつくした演奏です。あたかも強固な建造物でも見るかのような、どっしりとした風格をもっているのが特徴です。純ドイツ風のブラームスという点で興味深いですね。交響曲は4曲ともきわめて格調高く、高貴と形容したいほどの気品があり、ウィーン・フィルの精妙なアンサンブルも素晴らしいと思います。ベームの質朴な芸術性が独自の味わいをもって表出され、ブラームスの音楽的な本質をきわめて高度な水準で表現しています。ウィーン・フィル独自の様式とベームの姿勢とが強く噛み合い、そこに統御と許容という緊張関係がうまく表出されています。しかも、そこには演出臭はなく、最高のオーケストラを素材として、自己の表現を達成しようとする指揮者自身の理想の形が生み出されています。他の3曲も同じことがいえますが、なかでもルートヴィヒが歌う「アルト・ラプソディ」は、作品の豊かな抒情性を遺憾なく表した名演です。「悲劇的序曲」もすこぶる正攻法で、少しの小細工も弄せず、作品の内面を深く見据えた演奏をおこなっています。