2014年12月23日

カラヤンのワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」


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巨匠カラヤンが遺した数多くのオペラのスタジオ録音の中でも、本盤に収められたワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は特異なものである。

というのも、もともと指揮を予定していたバルビローリがキャンセルしたということもあるが、オーケストラは当時鉄のカーテンの向こう側にあったシュターツカペレ・ドレスデン、そして歌手陣はいわゆるカラヤン組に属する歌手は殆ど皆無であるという、カラヤンにとって完全アウェイの中で録音が行われたからである。

本盤の演奏は1970年であるが、この当時のカラヤンは、手兵ベルリン・フィルとともに黄金時代を築いていた時期に相当し、ベルリン・フィルの卓越した技量を誇る演奏に流麗なレガートを施したいわゆるカラヤンサウンドを駆使して、圧倒的な音のドラマを構築していた。

それは、例えば、同時期にスタジオ録音されたワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」(1966〜1970年)を聴けばよく理解できるところである。

しかしながら、本演奏においては、ベルリン・フィルを指揮して圧倒的な音のドラマを構築したカラヤンはどこにも存在していない。

したがって、カラヤンサウンドなどというものは皆無の演奏に仕上がっているところであり、シュターツカペレ・ドレスデンならではのドイツ風のいぶし銀の重厚な音色が全体を支配していると言えるところだ。

そして、カラヤンはシュターツカペレ・ドレスデンを巧みに統率するとともに、ライト・モティーフを適切に描き分けるなど、稀代のオペラ指揮者ならではの才能を十二分に発揮した見事な演出巧者ぶりを発揮している。

カラヤンは、本演奏の録音に際しては、演奏を細かく中断させることなくできるだけ通しで録音を行ったということであるが(編集も最小限に抑えられている)、これによって音楽の流れがいささかも淀みがないとともに、どこをとっても強靭な気迫と緊迫感、そして生命力に満ち溢れているのが素晴らしい。

歌手陣も、主役級にはいわゆるカラヤン組に属する歌手は殆どいないものの全体としては豪華な布陣であり、ハンス・ザックス役のテオ・アダムとフェイト・ポーグナー役のカール・リッダーブッシュ、そしてシクストゥス・ベックメッサー役のジェレイント・エヴァンスは特に充実した歌唱を披露している。

また、ヴァルター・フォン・シュトルツリング役にルネ・コロ、ダーフィト役にペーター・シュライアー、エーファ役にヘレン・ドナート、そして夜警役にクルト・モルを起用する当たりは、いかにもカラヤンならではの豪華なキャスティングである。

ドレスデン国立歌劇場合唱団の豊穣にして充実した歌唱も、本名演に大きく貢献しているのを忘れてはならない。

いずれにしても、本演奏はカラヤンのオペラ指揮者としての実力が存分に発揮された演奏であり、シュターツカペレ・ドレスデンの潤いに満ちたいぶし銀の音色も相俟って、同曲演奏史上最高の超名演に仕上がっていると高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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