2014年12月27日
カラヤンのワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルシファル」
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カラヤンは、クラシック音楽史上最大のレコーディングアーティストであり、膨大な数の録音を行った。
とりわけオペラはカラヤンの絶対的な得意分野であり、遺された録音はいずれも水準が高く名演も数多く存在しているが、その中でも最高峰に君臨する名演は、本盤に収められたワーグナーの舞台神聖祝典劇「パルジファル」ということになるのではないだろうか。
それどころか、同曲の数々の演奏の中でも、クナッパーツブッシュ&バイロイト祝祭歌劇場管による名演(1962年)と並ぶ至高の超名演と高く評価したい。
もっとも、本演奏はクナッパーツブッシュによる演奏とはその性格を大きく異にしている。
クナッパーツブッシュによる名演がスケール雄大な懐の深い人間のドラマであるとすれば、カラヤンによる本演奏は、同曲の極上の絶対美を誇る旋律の数々を徹底して美しく磨き抜いた圧倒的な音のドラマと言うことができるのではないだろうか。
本演奏は1979〜1980年のスタジオ録音であり、カラヤン&ベルリン・フィルの黄金コンビがその最後の輝きを放っていた時期のものだ。
当時のカラヤン&ベルリン・フィルは、鉄壁のアンサンブル、ブラスセクションのブリリアントな響き、桁外れのテクニックを示す木管楽器、雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが一体となった圧倒的な演奏に、カラヤンが流麗なレガートを施し、それこそオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築を行っていた。
本演奏においてもそれは大いに健在であり、どこをとっても磨き抜かれた美しさを誇るいわゆるカラヤン・サウンドで満たされている。
おそらくは、同曲演奏史上、最も美しく磨き抜かれた演奏と言えるところであり、とりわけ有名な「聖金曜日の音楽」における極上の美しさには、身も心も蕩けてしまいそうになるほどだ。
このようなカラヤン&ベルリン・フィルが構築した絶対美の世界にあっては、歌手陣や合唱団もそれに奉仕する1つの楽器に過ぎないとも言えるところであり、これほどまでに美を徹底して突き詰めた演奏は、カラヤンとしても空前にして絶後の出来であったとも言えるのではないだろうか。
まさに、本演奏は、マーラーの交響曲第9番(1982年ライヴ)と並んで、稀代のレコーディングアーティストであるカラヤンが構築し得た究極の美しさを誇る至高の超名演であると高く評価したい。
もっとも、歌手陣も、カラヤンが構築した美の世界の中のおいて素晴らしい歌唱を行っている。
とりわけ、パルジファル役のペーター・ホフマンとグルネマンツ役のクルト・モルの歌唱は圧倒的であり、花の乙女役のバーバラ・ヘンドリックスやアルト独唱のハンナ・シュヴァルツなど、脇役陣にも目を光らせたカラヤンならではのキャスティングにも抜群のセンスの良さを感じることも可能だ。
録音は、カラヤンにとっての初のデジタル録音であり、従来盤でもきわめて優秀なものである。
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