2016年02月26日
グリモーのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(アシュケナージ)、≪音の絵≫から 他
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2度に渡ってピアノ・ソナタを録音するなどラフマニノフを十八番としているグリモーであるが、本盤には有名なピアノ協奏曲第2番や前奏曲、練習曲等の小品が収められている。
いずれも、グリモーならではの素晴らしい名演と高く評価したい。
グリモーのピアノは、ピアノ・ソナタでもそうであったが、力強い打鍵から繊細な抒情に至るまで、表現の幅が桁外れに広いと言える。
これは、感情の起伏が激しいラフマニノフの演奏にとっては大きなアドバンテージであると言えるだろう。
とりわけ、力強い打鍵は、男性ピアニスト顔負けの強靭さを誇っており、その圧倒的な迫力は我々聴き手の度肝を抜くのに十分だ。
他方、繊細な抒情は、女流ピアニストならではの清澄な美しさに満ち溢れており、各旋律の端々から湧き上がってくる豊かな情感には抗し難い魅力に満ち溢れている。
そして、ここまでならば、同様のピアニズムを展開する女流ピアニストは他にも存在しているが、グリモーの素晴らしいのは、これだけの表情の起伏の激しい演奏を行っても、いささかも格調の高さを失わない点であると考えられる。
ラフマニノフの楽曲は、甘美な旋律に満ち溢れているが、あまり感情移入し過ぎると、感傷的で陳腐なロマンティシズムに陥ってしまう危険性がある。
しかしながら、グリモーの場合は、前述のように情感の豊かさが演奏全体を支配しているが、同時にどこをとっても気高い気品に満ち溢れているのが素晴らしい。
厚手の衣装をまとったような感傷的で重々しい従来型のラフマニノフ演奏とは一線を画するものであり、その演奏に清新さを与えたという意味では、本演奏は、前述の2度にわたるピアノ・ソナタの演奏も含め、新時代のラフマニノフ演奏像を確立したと言っても過言ではない。
また、ピアノ協奏曲第2番の指揮はアシュケナージであるが、これまた素晴らしい。
アシュケナージは、指揮者としてもピアニストとしてもラフマニノフを得意としているが、ここではグリモーの清新にして気高いピアニズムを引き立て、フィルハーモニア管弦楽団とともに最高のパフォーマンスを発揮している点を高く評価したい。
録音は、2000〜2001年のスタジオ録音であり従来盤でも十分に高音質であるが、グリモーによる至高の名演でもあり、今後はSHM−CD化を図るなど、更なる高音質化を大いに望んでおきたいと考える。
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