2014年12月25日
庄司紗矢香&チョン・ミュンフンのチャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
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数多くの若手ヴァイオリン奏者が活躍する今日においては、残念なことではあるが庄司紗矢香の存在感はやや薄くなってしまっていると言わざるを得ない。
しかしながら、今から7年ほど前の本盤に収められた演奏当時は、庄司紗矢香は次代を担う若手ヴァイオリニストの旗手として飛ぶ鳥を落とす勢いであったと言える。
本演奏では、そのような前途洋々たる将来を嘱望されていた庄司紗矢香の素晴らしいヴァイオリン演奏を聴くことが可能であり、両曲ともに素晴らしい名演と高く評価したい。
まずは、庄司紗矢香の若手ヴァイオリニストとは到底思えないような落ち着き払ったテンポ設定に大変驚かされる。
あたかも1音1音を丁寧に、しっかりと確かめながら演奏しているかのようであるが、それでいて音楽の自然な流れが損なわれることはいささかもなく、むしろこれ以上は求め得ないような美しさの極みとも言うべき極上の音楽が滔々と流れていく。
その心のこもった情感の豊かさは、切れば血が吹き出てくるような熱い情熱に裏打ちされており、実に感動的だ。
もちろん、庄司紗矢香の卓越した技量は比類がないものであり、とりわけ両曲の終楽章の頂点に向けて畳み掛けていくような気迫溢れる力強さやエネルギッシュな生命力は、圧倒的な迫力を誇っている。
この庄司紗矢香の素晴らしいヴァイオリンをうまくサポートしているのが、チョン・ミュンフン&フランス国立放送フィルによる好演だ。
チョン・ミュンフンは1990年代の全盛期に比べると、かなり大人しい演奏に終始するようになったが、本演奏ではこれが逆に功を奏し、ゆったりとしたテンポによる控えめな演奏が庄司紗矢香のヴァイオリンをうまく引き立てるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
録音は、従来盤ではヴァイオリンとオーケストラのバランスについて問題視されるなど、必ずしも満足できる音質とは言い難い面があったが、今般のSHM−CD化により鮮明さが増すことによって、かなり満足できる音質に生まれ変わったと言えるのではないだろうか。
いずれにしても、飛ぶ鳥落とす勢いであった庄司紗矢香による素晴らしい名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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