2015年01月01日
クレンペラー&フィルハーモニア管のベルリオーズ:幻想交響曲
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凄い演奏だ。
幻想交響曲の名演と言えば、どちらかと言えば、フランス人指揮者によるフランス風のエスプリ漂う演奏が多い。
もちろん、ミュンシュ(特に、パリ管弦楽団発足ライヴ録音)やクリュイタンス(特に、来日時のライヴ録音)のようなドラマティックな豪演もあるが、それらの演奏にも、フランス風の瀟洒な味わいが内包されていた。
ところが、クレンペラーの演奏には、そのようなフランス風のエスプリなど、どこにも見当たらない。
ゆったりとしたインテンポによるドイツ風の重心の低い演奏だ。
同じく独墺系の指揮者による名演としてカラヤン盤が掲げられる(特に1974年盤)が、カラヤンの場合も、演奏全体としてはドイツ風の重厚なものであるものの、カラヤンが鍛え抜いたベルリン・フィルの色彩豊かな音のパレットを用いて、可能な限り、フランス風の音を作り出していた。
その結果として、重厚さに加えて華麗という表現が相応しい名演に仕上がっていたと言える。
しかしながら、クレンペラーの場合は華麗ささえないと言える。
強いて言えば、野暮ったささえ感じさせるほどなのだ。
しかしながら、その重心の低いスローテンポの音楽から浮かび上がってくる内容の深さは、同曲のいかなる名演をも凌駕すると言える。
クレンペラーは、そもそも幻想交響曲を標題音楽としてではなく、純粋な交響曲として演奏しているのだろう。
前述のように、ゆったりとしたインテンポによる決して前に進んでいかない音楽ではあるが、それによって、ベルリオーズの音楽の魅力が、その根源からすべて浮かび上がってくるかのような趣きがある。
木管楽器の生かし方も新鮮さの極みであり、この音楽を初めて聴くような印象を受ける箇所が多く散見される。
そして、演奏全体としてのスケールの雄大さは、他にも比肩するものはない。
あまりの凄まじい指揮ぶりに、必死でついて行ったフィルハーモニア管弦楽団も、アンサンブルが微妙に乱れる箇所(特に、終結部)もあり、スタジオ録音ではありながら、実にスリリングな印象を受ける箇所さえもある。
HQCD化によって、音場が拡がるとともに、音質に鮮明さを増した点も、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。
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