2015年02月10日
マルティノン&フランス国立管のサン=サーンス:交響曲全集
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サン=サーンスは、番号付の交響曲を3曲、そして番号が付かない交響曲を2曲の合計で5曲にわたる交響曲を作曲している。
この中で、交響曲第3番のみが「オルガン付き」という愛称もあるせいか極めて有名であり、その他の交響曲については無名の存在で、演奏すらされることが稀である。
したがって、録音も、その殆どが交響曲第3番のみであり、サン=サーンスの交響曲全集を録音した指揮者は殆ど限定的である。
そのような状況の中にあって、フランス人の超一流の大指揮者マルティノンが、最晩年にサン=サーンスの交響曲全集のスタジオ録音を遺してくれたのは、クラシック音楽ファンにとって実に幸運なことであったと言えるのではないだろうか。
マルティノンは、交響曲第3番については、5年前にも同じフランス国立管弦楽団とともにスタジオ録音(エラート)しており、その再録音を含めて、交響曲全集のスタジオ録音を行ったということは、マルティノンの本全集の録音にかける並々ならぬ意欲と、サン=サーンスという母国の大作曲家への深い愛着と敬意を窺い知ることが可能であると言えるところだ。
それにしても、演奏は素晴らしい。
マルティノンは、持ち味である力強さ、メリハリのついた明快さ、そして繊細な抒情などを全て併せ持つ多種多彩な表現力を駆使した剛柔のバランスのとれた演奏ぶりが際立っており、そうした指揮芸術が、サン=サーンスの各交響曲、とりわけ演奏機会が極めて限定的な交響曲第3番を除く他の交響曲の魅力を引き出すのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
また、各楽曲の細部における入念な表情づけも抜かりなく行われており、スコアに記された音符の表層だけをなぞっただけの浅薄な演奏にはいささかも陥っていない。
そして、それら細やかな表情づけが施された各旋律の端々からほのかに漂ってくる独特の瀟洒な味わいは、これぞフランス風のエスプリと評しうるものであり、その何とも言えない美しさには抗し難い魅力が満ち溢れている。
なお、交響曲第3番については、前述のエラート盤も名演であるが、オルガンのマリー=クレール・アランの存在感に際立ったものがあり、マルティノンの指揮芸術をより味わいたいというクラシック音楽ファンには、ベルナール・ガヴォティによるオルガン演奏がより抑制的であることもあり、本演奏の方をおすすめしたいと考える。
いずれにしても、本盤のマルティノン&フランス国立管弦楽団ほかによるサン=サーンスの交響曲全集は、その絶対数が少ないこともあり、究極の決定的な名全集と高く評価したい。
音質は、1975年のスタジオ録音ではあるが、数年前にリマスタリングされたこともあって比較的良好な音質である。
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