2014年12月29日
メジューエワのショパン:スケルツォ全曲、他
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本盤は、メジューエワ一連のショパンの録音の中では最も古い録音であるが、メジューエワのショパンへのアプローチは基本的に後の録音と変わることはなく、深みとスケールのある、聴けば聴く程に凄い、実に聴き応えのする素晴らしい名演だ。
このアルバムは、ショパンのスケルツォがどんなにスケールの大きい作品であるかを改めて教えてくれる。
メジューエワは、ショパンがスコアに記したすべての音符を1音たりとも蔑にせず、1音1音を丁寧に、そして確信を持って弾き抜いている。
メジューエワは、その鮮やかな音色と大胆なアゴーギクによってリズムやフレーズを屹立させ、作品の細部に至るまで性格を明確にしていくのだ。
それ故に、旋律線が実にくっきりと明瞭に描き出されることになる。
こうしたアプローチは、音楽の流れを損なってしまう危険性もあるのだが、メジューエワの場合、そのようなことは全くなく、音楽も実に美しく自然に流れるのである。
まさに、風格のある堂々たるピアニズムであるが、それでいて、女流ピアニストならではの繊細な詩情にもいささかの不足がない。
要は、我々聴き手がショパン演奏に望むすべての要素を兼ね備えた驚くべき名演ということができよう。
聴き手の魂を揺さぶり、完全燃焼するメジューエワ渾身の演奏は、聴き手を強く作品世界に巻き込んでいくに違いない。
本盤に収められたスケルツォ、そして即興曲や夜想曲のいずれも名演であるが、スケルツォの収録順を番号順にせず、有名な第2番を冒頭においた点においても、メジューエワの同曲への拘りと深い理解を感じさせる。
巧みに配された即興曲と夜想曲はくつろぎのひとときだ。
やはりメジューエワは、「21世紀最高の女流ピアニスト」との呼び声も高いだけあって、そんじょそこらのピアニストとは一線を画す桁違いの実力を持っていると言わざるを得ない。
打鍵の正確さ、自然なルバート、歌い回しの巧さも、どれをとっても超一級品で、特に歌い回しに関しては、決してわざとらしくなく人の感情を大いに揺さぶりかけてくるものがあり、その巧さはルービンシュタインすら上回っていると言えるかもしれない。
2002年11月26〜27日、富山県魚津市新川文化ホールに於ける録音であるが、音質も申し分のない鮮明さだ。
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