2014年12月28日
メジューエワのショパン:ノクターン集(21曲)
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メジューエワの演奏を今回初めて聴いたが、これは実に素晴らしい名演だ。
何が素晴らしいかというと、様々な点を掲げることができるが、いい意味で女流ピアニスト離れした堂々たるピアニズムを披露している点を先ずは掲げたい。
冒頭の嬰ハ短調からして、他のピアニストとはまるで異なる。
とにかく、旋律線が実に明瞭でくっきりとしている。
この遺作となる同曲には、抒情的、内省的な演奏を心がけるあまり、曖昧模糊とした演奏が多い中で、メジューエワの確固たる造型の構築力が際立つ。
要は、メジューエワは、ショパンのノクターンに対して、ベートーヴェンのピアノ・ソナタなどと同様のアプローチを心がけているのだ。
これは、作品9以下のすべての楽曲にも言えるところであり、いずれの楽曲も、堂々たるピアニズム、1音1音をゆるがせにしない確固たる造型美によって、風格のある偉大な芸術作品の構築に成功したと言える。
ノクターンを陳腐なサロン音楽などと蔑視する一部の見解をあざ笑うかのような快挙と言える。
前述のように、これは女流ピアニスト離れした至芸とも言えるが、それでいて、ショパン特有の繊細な抒情においてもいささかも不足はなく、こうした点は、まさに女流ピアニストならではのアドバンテージと言えるだろう。
ショパン作品の演奏に相応しい繊細さと優美さ、そして強靭さとスケールの大きさを兼ね備えつつ、作品55-2や作品62など後期作品におけるむせ返るような濃密なロマン性と得も言われぬ儚さの表出も聴きどころのひとつ。
磨き抜かれた精妙なタッチと移ろいゆく色彩、確固たる造型と芳醇な情熱が、「この世のものならぬ絶美のショパン」を生み出している。
冒頭と最後に、遺作となる嬰ハ短調とハ短調のノクターンを配しているのも、メジューエワのノクターンへの深い拘りと愛着を感じさせる。
いずれにしても、本盤のノクターンは、堂々たる風格溢れるピアニズム、卓越した技量に裏打ちされた力強い打鍵、厳しく構築された造型、そして、ショパンの心の深淵を追求するかの如き深みのある繊細な抒情など、我々聴き手が望むすべての要素を兼ね備えた驚くべき名演と高く評価したい。
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