2015年06月10日

メジューエワのシューベルト:ピアノ作品集-1


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メジューエワが、ショパンやシューマンなどの数々の録音に引き続いて、シューベルトのピアノ作品集に着手した時期の録音だ。

素晴らしい活躍を続けるロシア出身の実力派メジューエワは、本盤においても、曲想を精緻に描き出していくという基本的なアプローチは変わっていない。

1音1音を揺るがせにすることなく、旋律線を明瞭にくっきりと描き出していく。

ピアノ・ソナタ第18番の第2楽章などにおける強靭な打鍵も女流ピアニスト離れした力強さが漲っているとも言える。

この演奏を聴くとシューベルトは歌の作曲家であると同時にリズムの作曲家でもあることを思い知らされる。

したがって、全体の造型は非常に堅固であるが、音楽は滔々と流れるとともに、優美な気品の高さをいささかも失うことがない。

そして、細部に至るまでニュアンスは豊かであり、その内容の濃さはメジューエワの類稀なる豊かな音楽性の証左と言えるだろう。

また、シューベルトの作品には、ウィーン風の抒情に満ち溢れた名旋律の数々が聴かれるが、その背後には寂寥感や死の影のようなものが刻印されており、これをどの程度表現できるかに演奏の成否がかかっている。

メジューエワは、繊細優美で愉悦感に溢れる音楽づくりは言うまでもなく、シューベルトの音楽のもうひとつの要素である寂寥感や死の影をそこはかとなく表出してゆく。

とりわけ、最晩年のピアノ・ソナタ(第19〜21番)の底知れぬ深みは、ベートーヴェンの後期のピアノ・ソナタにも比肩し得るほどの高峰にあるが、これを巧みに表現し得た深みのある名演として、内田光子盤が掲げられる。

メジューエワによる第19番は、年功から言ってさすがに内田光子の域に達しているとは言えないが、それでも、寂寥感や死の影の描出にはいささかの不足もなく、前述のような気高くも優美なピアニズム、確固たる造型美などを総合的に鑑みれば、内田光子盤にも肉薄する名演と高く評価したい。

確固たる造型に支えられた線の太さと、千万変化するタッチを駆使した玄妙な表現が一体化した恐るべきシューベルトで、ここに収められているどの曲も、傑作であることを、深く納得させてくれる演奏だ。

録音もメジューエワのピアノタッチが鮮明に捉えられており、素晴らしい高音質である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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