2015年06月14日
メジューエワのシューベルト:ピアノ作品集-3
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これまで多くの聴者によって支持を集めているメジューエワによるシューベルトのピアノ作品集もついに第3弾の登場となった。
曲目も、最後の3つのピアノ・ソナタのうちの第20番、そして同じイ長調のピアノ・ソナタとして有名な逸品である第13番、そして楽興の時などの有名な小品集も収められており、まさに第3弾の名に相応しいラインナップを誇っていると言えるだろう。
それにしても、演奏は素晴らしい。
いや、それどころか期待以上の見事さと言っても過言ではあるまい。
本盤の演奏においても、メジューエワの基本的なアプローチは、第1弾や第2弾の演奏と基本的には変わっていないと言える。
メジューエワは、スコアに記されたすべての音符の1つ1つをいささかも揺るがせにすることなく、旋律線を明瞭にくっきりと描き出していくというスタンスで演奏に臨んでいる。
それでいて、いささかも単調に陥るということはなく、強靱な打鍵から繊細な抒情に至るまで表現力の幅は桁外れに広い。
全体の造型は非常に堅固であるが、音楽は滔々と流れるとともに、優美な気品の高さ、格調の高さをいささかも失うことがないのがメジューエワの最大の美質である。
そして、細部に至るまでニュアンスは豊かであり、その内容の濃さはメジューエワの類稀なる豊かな音楽性の証左と言えるだろう。
シューベルトのピアノ曲は、もちろん最後の3つのソナタの一角を構成する第20番はもちろんのことであるが、その他の楽曲についても、ウィーン風の抒情に満ち溢れた名旋律の端々には寂寥感や死の影のようなものが刻印されているが、メジューエワによる本演奏は、かかる寂寥感や死の影の描出においてもいささかの不足もなく、前述のような気高くも優美なピアニズム、確固たる造型美なども相俟って、まさに珠玉の名演に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。
第1弾及び第2弾の際のレビューにおいても記したところであるが、これほどの名演を聴くと、メジューエワの類稀なる才能をあらためて感じるとともに、今後の更なる成長・発展を大いに期待できるところだ。
今後、メジューエワがどのようなスケジュールでシューベルトのピアノ作品集の録音を進めていくのかはよくわからないが、第4弾以降にも大いに期待したいと考える。
特に、シューベルトのみならず、あらゆるピアノ・ソナタの中でも最高峰の傑作とされる最後の3つのソナタのうち、本盤の登場によって第19番及び第20番の2曲の録音が揃ったことになるが、第21番において、メジューエワがどのような演奏を成し遂げるのか、実に興味深いと言えるところだ。
音質についてもメジューエワのピアノタッチが鮮明に捉えられており、素晴らしい高音質であると評価したい。
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