2014年12月30日
ヤンソンス&バイエルン放送響のチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」/ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」
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マリス・ヤンソンスは、バイエルン放送交響楽団とロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団という、世界でも超一流のオーケストラの音楽監督を兼任するなど、名実ともに、同じく指揮者であった父親のアルヴィド・ヤンソンスを超える現代における大指揮者の1人であるが、本盤に収められたチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」、そしてストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」は、バイエルン放送交響楽団の音楽監督に就任して1年後のライヴ録音だ。
ヤンソンスは、祖国ロシアにおいて、ムラヴィンスキーの統率下にあったレニングラード・フィルの副指揮者をつとめ、ムラヴィンスキーの薫陶を受けるとともに、カラヤン国際指揮者コンクールにおいて第2位入賞を果たすなど、カラヤンの影響も少なからず受けることになった。
それだけに、ムラヴィンスキーとカラヤンによる得意のレパートリーであったチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」については、両者の演奏のそれぞれの長所を採り入れた演奏になっていると言えるのではないだろうか。
演奏全体の引き締まった造型美とテンポ設定については、ムラヴィンスキー直伝の神経に貫かれた演奏とも言えるところであるが、これにカラヤンの演奏が有していた豪壮華麗さが付加された、いい意味での剛柔のバランスのとれた演奏こそが、ヤンソンスによる本演奏ということになるのではないかと考えられるところである。
また、実演ならではの強靭な生命力やトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫においていささかも不足がないところであり、若き日のヤンソンスがオスロ・フィルとともにチャイコフスキーの交響曲全集をスタジオ録音(シャンドスレーベル)した際の「悲愴」の演奏よりも格段に優れた素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。
他方、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」は、ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団とのほぼ同時期のライヴ録音が存在している。
当該演奏と本盤の演奏は、アプローチ自体は酷似していることから、オーケストラの違いということになるが、両オーケストラともに技量は卓越したものがあり、後はオーケストラの音色の好みの問題と言えるのではないかと考えられる。
いずれにしても、本盤の演奏は、ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団との演奏と同格の素晴らしい名演と高く評価したい。
音質は、1994年のライヴ録音ということもあって、従来CD盤でも比較的満足できるものであったが、今般発売されたBlu-spec-CD2盤は、従来CD盤とは次元が異なるような優れた高音質に蘇っている。
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