2023年02月11日

ドイツ風の重厚さ🪨造形美を全面に打ち出した🎨最晩年のミュンシュ&パリ管の至高の名演⚜️ラヴェル:ボレロ💃🏻スペイン狂詩曲🦬ダフニスとクロエ組曲第2番


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1967年、鳴り物入りで創設されたパリ管弦楽団であったが、音楽監督・ミュンシュが翌68年に死去してしまった。

両者の録音はわずか4枚しか残っていないが、ミュンシュがその最晩年にパリ管弦楽団とともに遺した数少ない録音は、いずれも至高の名演揃いと言える。

パリ管の発足間もなくミュンシュが急死したことは、音楽界にとっても大きな損失であったが、この最晩年の4枚のCDを聴いていると、ますますそうした損失の大きさを思い知ることになる。

本盤のラヴェル作品集も超名演であり、精緻な内にも力強く燃え上がるような高揚感を表出するミュンシュの魅力が満載の演奏内容と言えるだろう。

創立後間もないパリ管の熱気と、指揮者のコントロールの効いた情熱とが相俟って、ゴージャスなラヴェルに仕上がっている。

ミュンシュは、フランス人でありながら、ドイツ音楽、特に、ブラームスを得意とした指揮者である。

それ故に、ミュンシュの指揮するフランス音楽は、他のフランス系の指揮者が醸し出すフランス風のエスプリを売りにするというよりは、楽曲の全体の造型美や、ドイツ風の重厚さを全面に打ち出すという特異性を有している。

本盤でも、そうしたミュンシュの特徴がよく出ている。

ボレロも、オーケストラの粋な音色のみならず、全体の造形美に配慮しており、フランス風の瀟洒な味わいよりも、重厚な迫力が際立っている。

スペイン狂詩曲は、むせ返るようなラテン風の味わいよりは、シンフォニックな荘厳さが全面に出ている。

ダフニスとクロエもスペイン狂詩曲と同様の傾向で、感傷には陥らず、高踏的な美しさを保っているのが素晴らしい。

確かに、一聴するとフランス音楽らしからぬミュンシュのラヴェルに異を唱える聴き手もいるとは思うが、このような重心の低いラヴェルも、むしろ新鮮な魅力に満ち溢れていると言えるのではないか。

いずれにしても、ミュンシュによる至高の名演を、UHQCDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic at 06:52コメント(2)ラヴェル | ミュンシュ 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年02月11日 08:08
5 1961年にボストン響と<ダフニスとクロエ>の歌輝かしい演奏を披露したミュンシュが,晩年老体に鞭打ちながらパリ管と録音したラヴェルの演奏を,<幻想交響曲>やブラームス1番と並んで至高の名演とする指摘に何も異論は有りません。ミュンシュは当時ドイツ帝国だったストラスブール出身で,後年フランスに帰化した人ですから,彼の音楽がドイツ色が濃厚なのは必然と言えるでしょう。ラヴェルの楽曲は繊細優雅なクリュイタンスと豪快情熱的なミュンシュが東西の横綱で,その中間にアンセルメとマルティノンが位置すると長年思っていました。しかし録音技術の発達に連れてブーレーズやデュトワの演奏が出現してから,フランス音楽は新鮮さと色彩感を融合する新しい時代に入ったと感じています。それでもこのミュンシュの演奏の魂は決して色褪せる事は有りませんね。

2. Posted by 和田大貴   2023年02月11日 08:31
ミュンシュは1949〜63年までボストン交響楽団の常任指揮者として活躍。1967年にパリ管弦楽団の初代音楽監督に迎えられたが、翌年演奏旅行中に急逝。彼の特にフランス音楽に示す洗練された芸術は、今も共感を呼んでいます。ミュンシュ最晩年の貴重な遺産であるこの盤は、ラヴェルの粋をつくした管弦楽曲の数々を集めたものですが、パリ管弦楽団の魅力をあますところなく伝えており、純度の高い輝きと色彩美に満ちている。ラヴェルの音楽に精魂こめて取り組んでいた老ミュンシュの真摯な姿勢に心打たれる名演揃いです。特に『ダフニスとクロエ』は、曲の細部にいたるまで充分に磨き抜かれた音の綾織りの美しさに魅了されます。「夜明け」は、いくぶん速めのテンポで潮のように音楽を盛り上げ、「全員の踊り」は、剛直な表現で圧倒します。「ボレロ」もテンポ設定が実にうまく、ソリストたちの技術も優秀で、華麗な音の絵巻を繰り広げています。『スペイン狂詩曲』も緻密なニュアンスに溢れ、情感豊かに描かれています。『亡き王女のためのパヴァーヌ』も高雅な詩情に満たされた名演です。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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