2015年02月20日
スメタナSQのヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番<クロイツェル・ソナタ>・第2番<ないしょの手紙>(1979年ライヴ)
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チェコが世界に誇るカルテットとして活躍したスメタナ四重奏団によるヤナーチェクの弦楽四重奏曲の4度目の録音で、その白熱した名演はライヴでありながら他の追随を許さぬ至芸の域に達している。
これはヤナーチェクの弦楽四重奏曲の数ある録音の中でも最高の名演であるとともに、スメタナ四重奏団の様々な演奏の中でもトップの座を争う超名演と高く評価したい。
本盤をそうした超名演たらしめたのは、ライヴ録音であるということによるのではなかろうか。
スメタナ四重奏団は、本盤の3年前にも、両曲をスタジオ録音している。
それもスメタナ四重奏団の名を辱めることのない名演ではあるが、本盤を前にすれば、太陽の前の星のような存在に過ぎない。
それぐらい、本盤はダントツの出来と言えるだろう。
第1番の第1楽章の冒頭からして、凄まじい緊迫感だ。
この冒頭の悲劇的な主題は、同曲の全体を支配しているが、スメタナ四重奏団は、終楽章に至るまで、冒頭の緊張感を保っており、それでいて随所に見られるモラヴィアの民謡風の旋律の情感豊かな歌い方にもいささかの抜かりはない。
第2番は、第1番をさらに深く、そしてスケールを雄大にした作品であるが、スメタナ四重奏団の鬼気迫る演奏は、他の弦楽四重奏団の追随を許さない至高・至純のレベルに達している。
ヤナーチェクという作曲家の憧憬や焦燥といった心理状態が凄絶なまでに写し出された音楽を、スメタナ四重奏団の精緻を極めたアンサンブルが克明に辿っていくのがこの名演の聴きどころだ。
ライヴ特有の緊張感の中に戦慄が走るような一体感で彼らの演奏が繰り広げられる。
確かに彼らは作曲家と同じチェコの音楽家であり、これらの曲に使われている民族的なエレメントや音楽に隠された言葉のアクセントやイントネーションを悟ることにそれほどの困難は無いかも知れない。
だがスメタナ四重奏団には単に同郷の強みだけではない、言ってみればこうした特異な音楽を普遍的な芸術に昇華する合奏力を持っている。
ヤナーチェクの強いメッセージを感じることができる数少ない演奏だ。
とある小説の登場によって、ヤナーチェクの様々な楽曲の録音は増える傾向にあるが、弦楽四重奏曲のについて、本盤を超える演奏を成し遂げるのは決して容易ではないと考える。
Blu-spec-CD化によって、音質は更に鮮明さを増しており、本盤の超名演の価値をより一層高めることに大きく貢献している。
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