2015年01月07日
ハイフェッツのベートーヴェン&ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
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いわゆる4大ヴァイオリン協奏曲の中でもベートーヴェンとブラームスのヴァイオリン協奏曲は、技量面での難しさもさることながら、メロディの美しさよりは音楽の内容の精神的な深みが際立った作品である。
したがって、演奏するヴァイオリニストにとっても、卓越した技量を持ち合わせているだけでなく、楽曲の内容の深みを徹底して追求する姿勢を持ち合わせていないと、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの浅薄な演奏に陥ってしまう危険性があると言えるだろう。
そうした中にあって、ハイフェッツによる本盤の演奏は、持ち前の超絶的な技量を駆使することのみによって、両曲の内容面をも含めた魅力を描出し得た稀有の演奏と言えるのではないだろうか。
1955年というハイフェッツの全盛期の演奏であるだけに、先ずは、その持ち味である超絶的な技量に圧倒されてしまう。
同時代に活躍した、ヴィルトゥオーゾを発揮したピアニストにホロヴィッツがいるが、ホロヴィッツが卓越した技量が芸術を超える稀有のピアニストであったのと同様に、ハイフェッツも、卓越した技量が芸術を超える稀有のヴァイオリニストであったと言えるのではないかと考えられる。
両曲ともに、ハイフェッツは、おそらくは両曲のこれまでのあまたのヴァイオリニストによる演奏の中でも史上最速のテンポで全曲を駆け抜けている。
これだけの速いテンポだと、技量面だけが前面に突出した素っ気ない演奏に陥る危険性を孕んでいるが、ハイフェッツの場合には、そのような落とし穴にはいささかも陥っていない。
これほどの速いテンポで卓越した技量を披露しているにもかかわらず、技巧臭がいささかもせず、音楽の素晴らしさ、魅力だけが聴き手に伝わってくるというのは、まさに、前述のような卓越した技量が芸術を超える稀有のヴァイオリニストの面目躍如と言ったところであろう。
両協奏曲の緩徐楽章においても、速めのテンポでありつつも情感豊かに歌い抜いており、このような演奏を聴いていると、ハイフェッツはヴィルトゥオーゾヴァイオリニストの第一人者として広く認知はされているが、血も涙もある懐の深い大芸術家であったことがよく理解できるところだ。
いずれにしても、本盤の両協奏曲の演奏は、ハイフェッツの全盛期の演奏の凄さを大いに満喫させてくれる圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。
これだけの超名演だけに、これまでハイブリッドSACD化など高音質化への取組がなされているが、これまでのところ、数年前に発売されていたSHM−CD盤よりも本Blu-spec CD2盤の方が良好な音質である。
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