2015年02月07日
プレヴィン&ロンドン響のチャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」
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本盤には、プレヴィンが当時の手兵であるロンドン交響楽団とともに1970年代にスタジオ録音したチャイコフスキーの3大バレエ音楽のうち、「眠れる森の美女」全曲が収められている。
プレヴィンは、クラシック音楽の指揮者としてもきわめて有能ではあるが、それ以外のジャンルの多種多様な音楽も手掛ける万能型のミュージシャンと言える。
したがって、本演奏においてもそのアプローチは明快そのもので、プレヴィンはロンドン響を指揮して、極めてパノラミックな表現を聴かせる。
楽曲を難しく解釈して峻厳なアプローチを行うなどということとは全く無縁であり、楽曲をいかにわかりやすく、そして親しみやすく聴き手に伝えることができるのかに腐心しているように思われる。
したがって、ベートーヴェンなどのように、音楽の内容の精神的な深みへの追求が求められる楽曲においては、いささか浅薄な演奏との誹りは免れないと思うが、起承転結がはっきりとした標題音楽的な楽曲では、俄然その実力を発揮することになる。
本盤に収められたチャイコフスキーのバレエ音楽「眠れる森の美女」は、そうしたプレヴィンの資質に見事に合致する楽曲と言えるところであり、加えて若さ故の力強い生命力も相俟って、素晴らしい名演に仕上がったと言っても過言ではあるまい。
ほどよい距離を保ちながら、全体を的確に把握しており、危うさがない。
情緒的なものに過度にのめり込むことなく、かといって、非情につっぱねるようなこともなく、知情意のバランスが無理なくとれている。
すべては他の曲の場合と同じで、ストーリー・テラー的な巧さによっていて、聴かせどころのツボを心得た演出巧者ぶりは心憎いばかりであり、プレヴィンの豊かな音楽性が本演奏では大いにプラスに働いている。
プレヴィンならではの、安定した性格の演奏で、完成度の高い出来映えである。
クラシック音楽入門者が、バレエ音楽「眠れる森の美女」を初めて聴くに際して、最も安心して推薦できる演奏と言えるところであり、本演奏を聴いて、同曲が嫌いになる聴き手など、まずはいないのではないだろうか。
いずれにしても、プレヴィンによる本演奏は、チャイコフスキーのバレエ音楽「眠れる森の美女」(全曲)には、ロジェストヴェンスキーやゲルギエフなどによるロシア風の民族色溢れる名演や、アンセルメやスラットキンによる洗練された色彩美を誇る名演などがあまた存在しているが、安定した気持ちで同曲を魅力を味わうことができるという意味においては、第一に掲げるべき名演と評価したい。
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