2015年06月07日
ポリーニのショパン:練習曲集[SACD]
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70歳になり、名実ともに現代を代表する巨匠ピアニストとなったポリーニであるが、ポリーニの評価については現在でも二分する状況にある。
これには、とある影響力の大きい某音楽評論家がポリーニの演奏を事あるごとに酷評し続けていることに起因しているものと思われる。
確かに、ポリーニの壮年期の演奏の一部には、某音楽評論家が指摘しているように、いささか技術偏重に堕した内容が伴わない演奏が垣間見られたのは事実である。
しかしながら、他のピアニストの追随を許さないような名演も数多く成し遂げてきたところであり、ポリーニの演奏をすべて否定してしまうという某音楽評論家の偏向的な批評には賛同しかねるところだ。
本盤に収められたショパンの練習曲集は1972年のスタジオ録音であり、今から40年以上も前の、若き日のポリーニによる演奏だ。
先般、ショパン国際コンクール優勝直後の1960年に録音された練習曲集の演奏が発売(テスタメント)されたが、畳み掛けていくような気迫といい、強靭な生命力といい、申し分のない圧倒的な名演に仕上がっていたところだ。
当該演奏と比較すると、本盤の演奏は、スタジオ録音ということも多分にあると思うが、前述の演奏と比較するとやや大人し目の演奏に仕上がっていると言えるだろう。
加えて、これまで従来CD盤で聴いていた際は、卓越した技量が全面に出た、いささか内容が伴わない演奏のように思っていたところだ。
ところが、今般、シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化されて大変驚いた。
もちろん、ポリーニの卓越した技量を味わうことができる点においては何ら変わりがないところであるが、SACD化によって、これまで技術偏重とも思われていたポリーニの演奏が、随所に細やかな表情づけやニュアンスが込められるなど、実に内容豊かな演奏を行っていることが理解できるところだ。
本演奏を機械仕掛けの演奏として酷評してきた聴き手にとっても、シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化された本盤を聴くと、本演奏の評価を改める人も多いのではないだろうか。
筆者としては、本演奏は、今般のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化によって漸くその真価のベールを脱いだ圧倒的な超名演と高く評価したいと考える。
前述の1960年の演奏のレビューにおいて、本演奏について疑問符を付けたところであるが、今般のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化を機に、その評価を改めたいと考える。
それにしても、音質によってこれだけ演奏の印象が変わるというのは殆ど驚異的とも言うべきであり、改めてシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の潜在能力の高さを思い知った次第だ。
いずれにしても、ポリーニによる圧倒的な超名演をSACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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