2015年01月14日

クレンペラー&フィルハーモニア管のメンデルスゾーン:真夏の夜の夢[SACD]


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クレンペラーの遺産の中でも特に美しいのがこの録音であり、風格のある実に素晴らしい超名演で、雄渾なスケール感に圧倒される。

トスカニーニ、フルトヴェングラーらとほぼ同世代のクレンペラーの優位は、晩年の芸術をステレオ録音で残してくれたこと。

特にメンデルスゾーンの「スコットランド」とこの「真夏の夜の夢」は彼の十八番であり、格調の高さに透明感のある響きが特徴である。

クレンペラーのメンデルスゾーンは他の作曲家の作品に対する解釈同様、実に個性的で、強靱な芸術性を持った内容に仕上がっている。

彼ならではの構築性に富んだ世界観に基づく演奏は、音楽そのものを根本的に変えてしまうような印象を与えてくれる。

ゆったりとしたインテンポによる演奏で、特に、何かをしているわけではないが、その深沈たる内容の濃さは、他のいかなる名演を凌駕する至高のレベルに達している。

「真夏の夜の夢」には、同じく名演としてプレヴィン盤があるが、プレヴィン盤は、聴かせどころのツボを心得た演出の巧さが光った名演であった。

ところが、クレンペラーには、そのような聴き手へのサービス精神など薬にしたくもない。

堂々たるインテンポで、自らの解釈を披露するのみであるが、その演奏の味の濃さと言ったら、筆舌には尽くしがたいものがある。

テンポも実にゆったりとしたものであるが、それだけに、メンデルスゾーンがスコアに記した音符のすべてが音化され、音楽に内在する魅力が前面に打ち出されてくるのが素晴らしい。

木管楽器の活かし方など、出色のものがあり、クレンペラーの数ある名演の中でも、トップの座を争う出来と言えるのではないか。

森の奥深いところへ誘ってくれる趣があって素晴らしく、これに比べると他のものは手入れの行き届いた公園の散歩みたいなもの。

ちなみに、この「真夏の夜の夢」は、アバド指揮ベルリン・フィル盤も評論家諸氏の評価が高いのだが、こちらの方は、ほぼ全曲にわたって語りが入っているのが特徴だ。

しかし、この語りが問題で、たとえば、オネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」のようなシリアスな曲なら、語りが、音楽全体の中で、なくてはならない必要不可欠なものと納得できるのだが、この「真夏の夜の夢」のような曲では、語りが、美しい音楽の流れを切断してしまっており、音楽的には、かえって逆効果になっているのだ。

演奏も、メリハリ豊かで恰幅の良いクレンペラー盤の方が、アバド盤より1枚上だと思う。 

音質は、従来CD盤やHQCD盤では音質の改善はピンとこなかったが、今回のSACD盤は高音も伸び、音の分離もよく指揮者やオーケストラの気配や各奏者の間の空気感まで伝わるような、はっきりわかる音質の改善を感じたところであり、夢のような演奏がさらにリアルで澄んだ夢のようになったと言えるところである。

SACDだとCDに比べ音量を上げなくても演奏の1音1音が耳にスーッと入ってきて、音ががさつな空気のかたまりになることもなく素直に音楽そのものを楽しめるようになった。

いずれにしても、クレンペラーによる至高の超名演をSACDによる超高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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