2015年01月07日
スーク・トリオのドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲第3番・第4番<ドゥムキー>
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ドヴォルザークは、恩人である先輩作曲家ブラームスと同様に、管弦楽曲もさることながら、むしろ室内楽曲において数多くの傑作を遺したと言えるのではないか。
その中でも、本盤に収められたピアノ三重奏曲の第3番と第4番は、最上位にランクされるべき名作であると思う。
しかしながら、これほどの名作であるにもかかわらず、ピアノ三重奏曲のCDは意外にも少ない。
弦楽四重奏曲「アメリカ」の数多いCDと比較すると、あまりにも不当な気がする。
そのような中で、ピアノ三重奏曲第3番と第4番に、チェコの名奏者で構成されるスーク・トリオによる名演があるのは何という幸せであろうか。
チェコの至宝スーク・トリオによる同作品2度目の録音で、作品への深い共感と揺るぎない自信に裏打ちされた正統派の名演である。
ドヴォルザークの曾孫にあたるスークをリーダーとするスーク・トリオは、作曲家への深い尊敬と共感に満ちあふれた演奏を聴かせる。
スーク・トリオの演奏は、奇を衒うことなく、作品の素晴らしさ、魅力を愚直なまでに自然体のアプローチで描き出していくもの。
その誠実であり、なおかつ作品への深い共感が、本盤で聴くような、いい意味でのオーソドックスな名演を生み出したと言えるだろう。
両曲に内在するスラヴ的な民族色の描出も見事であるし、ドヴォルザークの晩年に顕著な人生の哀感とも言うべき深い抒情の描き方も実に巧みだ。
スークの飾らない演奏が素晴らしく、決して華美な表現に陥らないのがスークらしいが、ドヴォルザークでは何より魅力的だと感じる。
なかでもボヘミア的情感を漲らせた《ドゥムキー》では、他の演奏者の追随を許さない演奏を繰り広げており、様々に交代する異質な要素が鮮やかに描き分けられ、スラヴ的情感も色濃く、ドヴォルザークの光と影を余すところなく描いている。
純音楽的でもあるが、終盤の民族的な曲ならではの、地鳴りするような迫力を感じることができ、さすがと思わせる。
緩急自在のテンポ設定も、透徹したアンサンブルの下、名人芸の域に達しており、力と心と理詰めのバランスが素晴らしい。
Blu-spec-CD化によって、音質がさらに鮮明になったことも、本盤の価値を高めることに大きく貢献している。
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