2016年03月03日
スメタナSQ&スークのモーツァルト:弦楽五重奏曲第3番・第4番
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モーツァルトの6曲ある弦楽五重奏曲は粒揃いだが、その中で、最も人気のある第3番と第4番をカップリングしたもので、演奏や録音も含めすべての面で次元の高い名盤と高く評価したい。
評論家の小林秀雄氏によって「モォツアルトの悲しさは疾走する」と評された弦楽五重奏第4番を含むアルバムである。
弦楽五重奏曲の第3番、第4番は、交響曲第40番、41番の関係に比較されることも多い、同時期作曲の楽曲で、第40、41番同様、かたや雄大で重厚、かたや哀感ある曲になっているが、これらの曲を、名門スメタナ四重奏団は、名手スークを迎え、その重厚感、哀感を見事に再現していて素晴らしい。
円熟期のスメタナ四重奏団と名手スークによる同曲の決定盤と言えるところであり、室内楽ファンを魅了してやまないアルバムと言えよう。
何よりも、スメタナ四重奏団の自然体ですっきりとした非常に端正な演奏が、これらの楽曲の楽想に見事にマッチングし、精緻を極めたアンサンブルと美しくおおらかな表現が秀逸。
ゆったりとした気持ちで、モーツァルトの素晴らしい音楽の魅力をダイレクトに味わうことができるのが素晴らしい。
第3番では作曲家天性の晴朗さが彼らの落ち着いたテンポ設定によって古典派特有の形式美を伴って再現され、意味の無い感情表出に拘泥しない極めて透明度の高い演奏だ。
一方第4番はモーツァルトにとって意味深い調性ト短調で書かれているが、ここでも彼らのアプローチは決して憂愁に媚びるものではなく、むしろ明るく艶やかな音色を生かして流麗な曲想をダイレクトに辿っている。
しかしその解釈は言葉では言い尽くせないほど懐が深いために、かえってモーツァルトの内面的な音楽性を浮かび上がらせることに成功しているのも事実だ。
もちろん、スメタナ四重奏団の演奏には、例えば最近解散したアルバン・ベルク四重奏団や今をときめくカルミナ四重奏団のような強烈な個性などは感じられないが、各奏者のハーモニーの調和においては、他のいかなる四重奏団をも凌駕し、第1ヴィオラを弾いたスークの名演奏も含め、極上の美演を披露、彼らのモーツァルトの弦楽五重奏曲集は素晴らしいの一語に尽きる。
弦楽五重奏曲を演奏する喜びが、これほどまでに音化されている例はほかにもあまりなく、これぞ室内楽曲の至高・至純の芸術美と言えよう。
録音も、通常盤でもかなりの高音質を誇っていたが、Blu-spec-CD化によって、より一層鮮明な音質に生まれ変わった。
このような名演を極上の高音質で味わうことができることを大いに喜びたい。
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