2015年02月19日
スメタナSQ&スークのモーツァルト:弦楽五重奏曲第2番・第6番
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実に美しい名演だ。
美しいと言うのは、いささか月並みな言い方ではあるが、本盤のような演奏を耳にしては、これ以上の形容詞が思い浮かばない。
それほどまでに、清澄な美しさに満ち溢れた至高・至純の名演と言える。
スメタナ四重奏団は、最近まで世界をリードしてきたアルバン・ベルク四重奏団や今をときめくカルミナ四重奏団のような鋭さや個性的な響きはない。
かつてのカペー四重奏団などの瀟洒な独特の雰囲気があるわけでもない。
そうした特筆するような個性があるわけではないが、他方、各楽器の高い次元での調和や、音色の清澄な美しさにおいては、他のいかなる四重奏団と言えども、スメタナ四重奏団にはかなわないのではないかと考える。
いずれも湧き出るような美しい音色と表現の豊かさ、そして何よりも増して熟達したアンサンブルの巧みさが特徴だろう。
そうしたスメタナ四重奏団にあっては、お国ものの音楽を除けば、最も符号する楽曲はモーツァルトということになるのではないだろうか。
チェコの名ヴァイオリニストであるスークが加わったモーツァルトの弦楽五重奏曲ということになれば、演奏が悪かろうはずがない。
スークのヴィオラは、スメタナ四重奏団と本当にうまく溶け合って、アンサンブルの練り上げは見事の一語に尽きる。
弦楽五重奏というと、四重奏団4人とゲスト1人との間に距離感を残している演奏が多い中、お互いを知り尽くしたスメタナ四重奏団とスークによるこのアンサンブルの緊密な一体感は、まるで常設の五重奏団であるかのようで、室内楽の醍醐味を満喫させてくれる。
そのため、前述のように、至高・至純の美しさを湛えた名演が仕上がることになる。
特に、モーツァルト最晩年の音楽のエッセンスのような第6番の演奏には静謐ささえ漂っており、おそらくは同曲最高の名演である。
ここでも彼らの弦の音色の美しさと細部まで練り上げられた高度な合奏の魅力が聴き所で、特に第3楽章のトリオの部分にあるヴァイオリンとヴィオラのユニゾンで聴かせる鄙びたメロディや終楽章のフーガでのこれほど息の合った、しかも余裕を持った演奏はそうざらにあるものではない。
これほど自然な流れと魅力ある表情で奏でるなんて……、これを成熟した音楽というのだろう。
Blu-spec-CD化によって、より鮮明な音質に生まれ変わっており、従来盤に比べて明瞭かつ新鮮な音質が再現されていて、本盤の価値を大いに高めることになっている。
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