2015年02月28日

クーベリック&チェコ・フィルのスメタナ:連作交響詩「わが祖国」(1990年ライヴ)


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クーベリックの『わが祖国』と言えば、ボストン交響楽団とスタジオ録音した1971年盤や、手兵のバイエルン放送交響楽団とライヴ録音した1984年盤の世評が非常に高い。

近年では、来日時にチェコ・フィルとライヴ録音した1991年盤の感動も忘れ難い。

特に、バランスや解釈の普遍性に鑑みれば、1971年盤こそ随一の名演と評価すべきであるが、本盤の演奏は格別の感動がある。

それは、ビロード革命によりチェコが自由化された後の初の「プラハの春」音楽祭のオープニングコンサート、しかも、クーベリックが祖国を離れてから(冷戦時代を西ドイツで過ごした)42年ぶりに、再び祖国に戻っての演奏会という、特別な事情があるからである。

民主化した祖国の土を再び踏むこととなった1990年の「プラハの春」音楽祭での演奏は、同曲の演奏史に記念すべき1章を刻む名演となった。

まさに、歴史的な演奏会の記録と言うべきであり、ここには、自由を謳歌し、演奏する喜びに満ち溢れたクーベリック&チェコ・フィル、そして聴衆の熱気が大きく支配している。

クーベリックも楽団員も聴衆もチェコの物悲しい伝統的旋律に必ずしも幸福ばかりでなかったチェコの歴史を思い出しながら、やっと訪れた自由の味を噛み締めているのに違いない。

ここに立ち昇る並々ならぬ熱い空間は、完璧な集中力に研ぎ澄まされた演奏と情感を、聴衆と一体となって映し出しているようで、祖国への熱い想いはとても言葉では表せないに違いない。

特に、馴染み深い「モルダウ」は、祖国に対する深い愛情が感じられる至極の名演奏で、「ターボル」の力強いド迫力なども出色であり、「ブラニーク」冒頭の重量感は初めて耳にするような力強さだ。

終曲部の「ヴィシェラフト」の主題が再現される箇所は、あまりの迫力にただただ圧倒されるのみであり、演奏終了後の聴衆の熱狂も当然のことのように思われる。

世にライヴ録音のCDは数多くあろうけれど、この作品のように真に歴史のページに金字塔を建てた演奏はほとんどないだろうし、今後ともなかなかありえないだろう。

今や平和にどっぷりと浸かり切っている日本人にはおよそ想像もつかない、人々の思いが散りばめられた1枚とも言えるだろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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