2015年01月07日

クロスリーのドビュッシー:ピアノ作品全集


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明晰なテクスチュアと生き生きしたリズムによって、ドビュッシー作品本来の美しさを取り戻したと大変話題になった優れた演奏。

ポール・クロスリーはメシアン・コンクールの優勝者という経歴からもわかるとおり、水際立ったテクニックを持つピアニストである。

多彩な音色の布置に気を配り、緩みなくかっちりとリズムを刻んで、鋭い分析眼で見抜いた作品の構造をバランスよく響かせていく。

情緒的に流されることはなく、すみずみまで神経の行き届いた演奏は、どちらかというとさらさらした感触である。

知性派のピアニストという評価は、おそらく誰もが認めるところで、20世紀の音楽を新鮮な視点から呈示してくれるのが、彼のアルバムやコンサートの楽しみのひとつとなっている。

もし、ドビュッシーのピアノ曲演奏史において、ルネサンスと呼ぶべきものがあるとすれば、ポール・クロスリーが取り組んだ全曲演奏シリーズこそその代表と言えよう。

メシアン門下の知性派ピアニスト、クロスリーはその繊細な感性と旺盛な研究心によって、ドビュッシーの音楽の新たな側面に光をあてている。

これまでにあった名演とされるドビュッシーとは少なからず違った印象があるが、それを大きく越える新たな発見の喜びがあり、ドビュッシーの音楽へのユニークなアプローチが光っている。

印象主義という括りで縛りつけた演奏からは曖昧以上のものは生まれない。

ぼんやり霧に包まれた音響像を一掃し、ペダルによる音色の融合にも細やかなグラデーションを与えることにより、本来、備わっていた音楽の生命力を回復している。

ドビュッシーの生み出した多彩な音色形態の構造原理をしっかりと把握し、響きに形式感を与えてさえいて、音空間と時間空間が明確化されている。

メロディへの思い入れがメインではなく、調性から解放された音楽の美しさがよく分かるところであり、音に囲まれた空閑がそのまま移行するような錯覚に落ちる。

ロンドン・シンフォニエッタの音楽監督としても活躍していたクロスリーの音楽づくりは、きわめて鋭敏かつ論理的で、このような音響芸術としてのドビュッシーがあることを初めて知ったところだ。

詩的な雰囲気を抑えているので、いくらか冷たく感じられるかもしれないが、この精緻きわまる演奏によって、ドビュッシーのもつ本質的な側面のひとつが明らかになった。

どの作品でも特にペダルの使い方が見事で、ドビュッシーの音楽はもはやもやもやとしたムードで聴かせる古いスタイルとは一線を画して、音の粒がすっきりとみえるような、しかも音色のグラデーションが楽しめる演奏となっている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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