2015年01月03日

ミケランジェリ/最後のリサイタル


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本盤には1995年に死去した稀代のピアニスト、アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリの、1993年5月にハンブルクで行われた最後のリサイタルの模様が収録されている。

ミケランジェリは独自の美学を持ったピアニストであったが、彼のピアノの最大の魅力は、透徹したタッチである。

それが最も充実した形で発揮されたのがドビュッシーの作品であったが、この最後のリサイタルにおけるライヴ録音は、この巨匠独自のピアニズムが最も理想的に表れたと言えるもので、ミケランジェリ美学の到達した究極の高みと言うべきであろう。

ミケランジェリの、青磁のように透徹して奥行の遥かなピアニストは、ドビュッシーの世界を表現するためにも、こよなく効果的であった。

1つ1つの音に繊細な神経が行き届いていて、その研ぎ澄まされた絶妙な音響と洗練された表現は、各曲の個性も鮮明に浮かびあがらせる。

特に《前奏曲第1巻》では、1つ1つの音の響きを練り上げ、それらを有機的に関連づけていくことによって、完璧なまでに彫琢された音空間を生み出している。

厳しいと言えるほどの音と音の緊張関係の上に成り立つその演奏は、いわゆる感覚的なドビュッシー演奏や雰囲気だけで弾かれるドビュッシー演奏とは、およそ対極にあるものだ。

ここでミケランジェリが彫琢する音色は、清澄である半面、微妙に変化して、つまりは稀に聴くほど多彩なものとなる。

《映像(イマージュ=イメージ)》において、ミケランジェリは透明な響きを極限まで追求し、情緒表現を切り詰め、精妙にして透明な美しさに満ちた爛ぅ瓠璽賢瓩鮑遒蠅△欧討い襦

どちらかと言えばクールな印象が先立つが、この純度の高い洗練された表現こそが、ミケランジェリならではの魅力である。

一方《子供の領分》でのミケランジェリは、愛らしい子供の世界からは一歩下がってあくまでも彼自身の厳しい目で作品に対している。

いわゆる童心をあたたかく歌い上げる、といった演奏とは次元を異にした磨き上げの厳しさを示すが、それでも彼の流儀において、優しさや微笑もふと添えている。

そしてやはり透徹した響きを求めているが、その音色の組み合わせに絶妙な変化を加えている。

いずれももはやこれ以上の演奏など考えらえないほど完璧であり、楽器へのこだわりも充分に納得させてくれる。

改めて、ピアノからミケランジェリほど精妙きわまりない多彩な色彩感をひきだしたピアニストはいなかったと思わせる貴重な録音である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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