2015年03月30日
ヴァント&ベルリン・ドイツ響のシューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
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1993年6月14日 ベルリン、フィルハーモニーに於けるもので、ミュンヘン・フィルとのライヴ録音から2週間後に行われたライヴ録音。
北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者であったギュンター・ヴァントが`第2の手兵オケ`として鍛え上げたベルリン・ドイツ交響楽団とのライヴ演奏を収録したアルバム。
かつてベルリン・ドイツ響友の会の会員専用CDとして頒布されたことのある伝説的名演盤でもある。
演奏の性格は殆ど同じであり、あとは、オーケストラの音色とコンサートホールの音響だけの違いと言える。
ミュンヘン・フィルは、南ドイツならではのやや温かみのある柔和な音色が持ち味であるが、力量のある指揮者に恵まれた時のベルリン・ドイツ交響楽団は、ベルリン・フィルに匹敵するような重心の低い深みのある音色を出す。
本盤の名演はその最たるものであり、これほどの次元の高い演奏になると、あとは好みの問題と言えるだろう。
本盤の数年前にヴァントは北ドイツ放送響と同曲をライヴ録音、数年後にベルリン・フィルと同曲をライヴ録音しているが、演奏の内容に(オーケストラの力量も含めて)差は殆ど見られないが、終楽章の充実感・爆発度はこの演奏が一番との声高い。
シューベルトの「第9」は、ベートーヴェンによって確立された交響曲の形式を、その後のブルックナーの交響曲を予見させるまでに昇華させた傑作交響曲であるが、ブルックナーを得意としたヴァントの「第9」は、まさに、ブルックナーの交響曲を思わせるような荘厳さを湛えている。
眼光紙背に徹したスコアリーディングをベースに、全体の厳しい造型を堅持し、重厚にして剛毅な演奏を行っている。
それでいて、第2楽章の中間部などの抒情も高踏的な美しさを保っており、剛柔のバランスのとれた至高の名演と高く評価したい。
熱心なヴァント・ファンからは「心身充実していた1990年代前半〜半ばの演奏こそヴァントの真髄がきける」「ベルリン・ドイツ放送響の力量は北ドイツ放送響以上。ベルリン・フィルはオケのプライド強すぎてヴァントの意図が100%徹底していない。ミュンヘン・フィルはチェリビダッケの影が付きまとう。今回のベルリン・ドイツ放送響が最高」とまで噂されていた垂涎のライヴ演奏である。
厳しく引き締まった造形美に打ち抜かれた崇高にして超弩級の演奏からは、ヴァントの芸風の真髄と「真打ち登場!」の手応えを実感されるに違いない。
録音も1993年のライヴ録音としてはきわめて優秀で、本盤の価値を高めることに大いに貢献している。
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