2015年01月12日
ショルティのモーツァルト:歌劇「魔笛」(旧盤)
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ショルティのモーツァルト・オペラ初録音であるが、ショルティの芸術性の高さを証明する、彫りの深い優しい「魔笛」で、当オペラ録音を語る上で外せない名盤。
ショルティとウィーン・フィルの関係は決して芳しいものではなかったと言われている。
ウィーン・フィルは、ショルティのように、オーケストラに自由を与えず、自己流のやり方を押し通そうとする指揮者には好意を抱かなかったし、ショルティも晩年はともかく、本盤が録音された1960年代は無機的とも評されるような鋭角的な指揮をしていた頃で、必ずしも自分の思い通りにならないウィーン・フィルに辟易している様子が、ショルティの伝記などからも窺えるからである。
しかしながら、ここでは両者ともに大人の対応で、共感を抱かない関係であっても、なかなかの佳演を成し遂げている。
ショルティの鋭角的な指揮は、決してモーツァルトとの相性がいいとは言えないが、ウィーン・フィルの優美な音色が、その演奏を角の取れたものとし、無機的になる寸前でとどまっているものと考えられる。
ショルティの統率力が、時として息の詰まりそうなほど集中力の強い演奏をつくり出している。
歌手陣も、なかなか豪華な布陣で、クレンペラー以来の脇役に至るまで超・夢のキャストでアンサンブルもぴったり、とりわけ重唱の美しさが印象に残る。
弁者にフィッシャー=ディースカウ、武士にルネ・コロなどいかにも重厚な布陣と言えるが、ザラストロのタルヴィラ、タミーノのバロウズ、パパゲーノのプライ、そしてパミーナのローレンガーの主役4者の歌唱は見事であると評価したい。
そして、やや癖はあるものの圧倒的なテクニックを披露する夜の女王のドイテコムの素晴らしい美声と正確なコロラトゥーラは現在においても少しも色褪せない。
夜の女王を演じた魅力的なソプラノ歌手はたくさんいるが、彼女のコロラトゥーラは群を抜いて凄く、「魔笛」録音史上最高の夜の女王として深く記憶に刻まれるものと言えよう。
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