2015年01月08日

ポゴレリチのリスト:ピアノ・ソナタ&スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



リストのピアノ・ソナタを弾きこなすことは、あらゆるピアニストの1つの大きな目標であるが、リストのソナタ録音で鑑賞に堪えうるものは実に少ないと言わざるを得ない。

この世のものとは思えない超絶的なテクニックを要するとともに、各場面の変転の激しさ故に、楽曲全体を1つのソナタに纏め上げるのが至難の業であるという点において、海千山千のピアニストに、容易に登頂を許さない厳しさがあると言えよう。

そうした難曲だけに、天才ピアニストであるポゴレリチがどのようなアプローチを見せるのか、聴く前は興味津々であったが、その期待を決して裏切らない超個性的な名演であった。

このポゴレリチのリストのソナタの演奏を聴くと、彼がどれほど卓越したピアニストであるかがよく分かる。

演奏の特徴を一言で言えば、表現の振幅がきわめて激しいことであり、最弱音から最強音まで、これほどまでにダイナミックレンジの広く、激情さと繊細さが同居した演奏は、他の名演でも例はあまりないのではなかろうか。

テンポ設定も自由奔放とも評すべき緩急自在さであり、たたでさえ各場面の変転が激しいのに、ポゴレリチは、うまく纏めようという姿勢は薬にしたくもなく、強弱やテンポの緩急を極端にまで強調している。

それ故に、全体の演奏時間も、同曲としては遅めの部類に入る33分強もかかっているが、それでいて間延びすることはいささかもなく、常に緊張感を孕んだ音のドラマが展開する。

そして楽譜の指示通りに、表層と速度を打鍵が可能になるように徹底的に吟味し調整した演奏と言えるが、楽譜で指定された音符の高さを、現代楽器そのまま、改造なしで弾ききっている。

リストのピアノ・ソナタは途方も無く底が深いが、それを表出させてしまうポゴレリチの音楽性と技術も凄く、個人的には、曲の解釈としても演奏史上屈指のものであると考える。

つまり、リストがもっていた内省的で陰鬱な側面が、この華麗なソナタにどのように含まれているのか、それを聴く者にはっきりと理解させてくれるからである。

これは、まさに天才の至芸であり、ポゴレリチとしても会心の名演と言っても過言ではあるまい。

ひたすらヴィルトゥオジティと悪魔性を追求したホロヴィッツや、情熱的なアルゲリッチの演奏とは対極にある。

併録のスクリャービンも、力強さと繊細な抒情を巧みに織り交ぜたポゴレリチならではの名演だ。

スクリャービンの音楽は狂気と繊細さを持ち合わせているが、筆者としては狂気に光を当てた演奏よりも、繊細さをより大切にした演奏を好む。

その意味では、この演奏は理想的で、こういう曲は、感性の赴くまま即興風に演奏されるのもいいが、ポゴレリチのように、分析され、隅々までコントロールされきった繊細さをもって提示されるのも、また素晴らしい。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 22:46コメント(0)トラックバック(0)ポゴレリチ | リスト 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ