2015年01月12日
トスカニーニ&NBC響のレスピーギ:交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」[XRCD]
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これは言わずと知れた有名な名盤で、昔からトスカニーニの代表作と言われていた歴史的な名演であるが、これまで発売されたCDは、録音年代が古いモノラル録音というハンディもあるが、K2カッティング盤も含め、決して満足できる音質とは言えなかった。
それ故に、本盤登場以前は、ムーティ盤や、最新のパッパーノ盤などにどうしても食指が動いていたが、XRCD盤が発売されるに及んで、他の演奏は、殆ど太陽の前の星のように、その存在が霞んでしまった。
それほどまでに、今般のXRCD盤は、実在感溢れる衝撃的な音質であり、あらためて、この歴史的名演の凄さを再認識することに繋がったと言える。
原テープのクオリティの素晴らしさもさることながら、XRCD化により、トスカニーニ率いるNBC交響楽団が誇っていた、目も覚めるような色彩感と傑出したヴィルトゥオジティが空前の華やかさと繊細さをもって見事に蘇っている。
イタリアの血が燃焼し尽くしたかのような迫力に満ちたストレートな表現は、トスカニーニを象徴する独特のものだ。
『ローマの松』の「ボルゲーゼ荘の松」からして、そのメリハリの利いた凄まじい迫力に圧倒されてしまう。
「カタコンブ附近の松」の地下から響いてくるような重厚さも見事であるし、「ジャ二コロの松」の弦楽器の何という艶やかさ。
「アッピア街道の松」はまさに精鋭を率いるトスカニーニ将軍といった趣きの貫録を見せる。
『ローマの噴水』は、特に、「朝のトリトンの噴水」と「真昼のトレヴィの噴水」の光彩陸離たるブリリアントな音の響きに、殆ど幻惑されてしまうようなまばゆいばかりの魅力がある。
そして、圧巻は『ローマの祭り』で、スコアのあらゆる音が完璧に響ききった生命感は、他の追随を許さない。
冒頭から終結部まで、誰にも止めることができない勢いと張り詰めるような緊張、オーケストラの驚異的なアンサンブル、そして切れば血が吹き出てくるような圧倒的な生命力が全体を支配しており、それでいて、「10月祭」の官能的とも言うべきカンタービレの歌い方も実に感動的だ。
特に、「主顕祭」のもはや人間業とは思えないようなド迫力には、評価する言葉すら思いつかないくらい、完全にノックアウトされてしまった。
レスピーギとトスカニーニに親交があり、お互いに共感し得る物があった事、NBC交響楽団がアクロバットに近い演奏を成功させた事、モノラルとはいえ当時のエンジニアが機械の性能を限界まで追求した事により成し得た偉業である。
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