2014年03月29日

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第5番(1973年来日公演ライヴ)


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ムラヴィンスキーが1973年の初来日公演でショスタコーヴィチ「第5」を異常とも言える緊迫感で演奏したときの貴重な記録で、彼の芸術を知る上で欠く事のできない至高の名盤と言えるだろう。

ショスタコーヴィチの交響曲は、ある批評家が言っていたと記憶するが、とんでもないことを信じていたとんでもない時代の交響曲なのである。

したがって、楽曲の表層だけを取り繕った演奏では、交響曲の本質に迫ることは到底不可能ということだ。

世評ではハイティンクやバーンスタインの演奏の評価が高いように思うが、筆者としては、ハイティンクのようにオーケストラを無理なく朗々とならすだけの浅薄な演奏や、バーンスタインのように外面的な効果を狙った底の浅い演奏では、とても我々聴き手の心を揺さぶることは出来ないのではないかと考えている。

ムラヴィンスキーの演奏は、ハイティンクやバーンスタインの演奏とは対極にある内容重視のものだ。

ショスタコーヴィチと親交があったことや、同じ恐怖の時代を生きたということもあるのかもしれない。

しかしながら、それだけではないと思われる。

本盤の「第5」など、ムラヴィンスキーにとっては何度も繰り返し演奏した十八番と言える交響曲ではあるが、にもかかわらず、ショスタコーヴィチに何度も確認を求めるなど、終生スコアと格闘したという。

その厳格とも言えるスコアリーディングに徹した真摯な姿勢こそが、これだけの感動的な名演を生み出したのだと考える。

社会主義体制下で「抑圧の克服から勝利へ」というこの曲のテーマをショスタコーヴィチと共に地で生き抜いたムラヴィンスキーの壮絶なる想いが、レニングラード・フィルの鉄の規律から放たれる鋭利なハーモニーと一見クールな演奏の深淵から炎の如き熱情の煌めきとなって溢れ出てくる。

芝居っ気の全くない辛口の演奏であり、「第5」に華々しい演奏効果を求める者からは物足りなく感じるかもしれないが、その演奏の内容の深さは、ほとんど神々しいばかりの崇高な領域に達している。

レニングラード・フィルの鉄壁のアンサンブルも驚異的であり、特に、妻でもあるアレクサンドラのフルートやブヤノフスキーのホルンソロ(特に第4楽章中間部)は、筆舌には尽くしがたい素晴らしさだ。

ムラヴィンスキーは数々の「第5」の録音を遺しており、いずれも名演の名に値するが、録音も含めると、本盤を最上位の超名演と高く評価したい。

音質は従来CD盤でも十分に満足できる出来映えであったが、HQCD化により更に鮮明になり、力強さが増したように感じられる。

SACD互換機をお持ちでないリスナーには本HQCD盤をお薦めしたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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