2015年01月13日
バーンスタインのヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」
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バーンスタインのウィーン国立歌劇場デビューでの大成功を受けて録音された「ファルスタッフ」で、バーンスタインとウィーン・フィルとの長い関係の出発点と言える名盤。
これはウィーン国立歌劇場が「アメリカの指揮者を呼びたい」と望んでバーンスタインに白羽の矢が立って実現した公演が大成功し、その結果生まれた録音である。
「ファルスタッフ」は、「アイーダ」や「オテロ」と比較するとスケールは小さいが、人生の酸いも甘いも知り尽くしたヴェルディの人生を達観したような遊び心に満ち溢れており、音楽の素晴らしさも含め、ヴェルディ最後のオペラの名に相応しい大傑作ではないかと考えている。
それだけに、これまで数多くの名演が成し遂げられてきた。
例えば、老獪な円熟の至芸を見せるカラヤンの1980年盤や、イタリア・オペラの真髄である豊かな歌謡性が魅力のアバドやジュリーニ盤などがあるが、本盤のバーンスタイン盤は、これらの名演とは異なった魅力がある。
それは、生命力溢れる気迫ということができるのではないか。
バーンスタインの指揮は晩年の演奏からは想像も出来ないほど鋭利であり、それに俊敏に反応するウィーン・フィルもさすがである。
冒頭の強靭な開始や終結部の力強さなどにもよく表れていると思うが、このような圧倒的な気迫は、ウィーン・フィルの力演によるところが大きい。
本盤の録音当時のウィーン・フィルは、カラヤンと一時的な喧嘩別れをして、カラヤンに対抗できるヒーローが欲しくて仕方がない時期であった。
それ故に、バーンスタインに大きな期待を抱いたに違いがなく、待望のヒーローを前にして、ウィーン・フィルが燃えまくっているのがよくわかる。
ここではウィーン・フィルの「やる気」が、それも自発的な「やる気」がビシビシ伝わってきて、活きのいい音楽が流麗にかつダイナミックに展開される。
バーンスタインは、本盤の録音について語る中で、ウィーン・フィルを指揮せずに指揮棒を降ろしていたなどという謙遜をしているが、逆に言えば、ウィーン・フィルにこれだけの演奏をさせたカリスマ性を高く評価すべきであろう。
アンサンブルの面白さが生命だが、バーンスタインの生命力あふれる指揮以下全員生き生きの名演で素晴らしい。
なお、ファルスタッフ役を、いささか不似合いなフィッシャー=ディースカウが演じているが、巧さにおいては群を抜いており、これだけの巧い歌唱を披露されれば文句は言えまい。
他ではリガブエのアリーチェが可憐で秀逸で、生来の発声がなんともチャーミング、この役の魅力を存分に表現している。
録音は英デッカが行ったこともあり、最新録音に劣らぬ素晴らしい出来映えで、ウィーン・フィル独特の艶のある響きを捉えて余すところがない。
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