2015年01月13日

カラヤンのレオンカヴァルロ:歌劇「道化師」


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ヴェリズモ・オペラのひとつの指標として、長く我々の記憶に止まるであろう録音。

カラヤンがスカラ座を振ったオペラで、それが良好なステレオ録音の正規盤ということになると、この「道化師」と、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の2点のみしか存在しないように記憶する。

「道化師」が77分あまり、「カヴァレリア・ルスティカーナ」が80分あまりという演奏時間ゆえに以前は外盤の3枚組でしか入手できなかった。

1枚ずつで発売されたことをまずは歓迎したい。

どちらも1965年の録音で、筆者が初めてこのディスクを入手したとき第一に注目したのは「カラヤンがその時期に振ったスカラ座はどんな音を出したか」ということであった。

セラフィンやジュリーニ、サバタのもとでオペラを演奏するときのスカラ座は、いろんな点で指揮者の個性を受けとめつつも、開放的なパトスをその信条としていた。

想像どおりというべきか、ここでのスカラ座の音はそれらとまったく異なり、非常な美音でかつ収斂してゆく「カラヤンの音」になっている。

のちの「ボエーム」や「トゥーランドット」を演奏しているベルリン・フィル、ウィーン・フィルの音と志向するところが同じである。

このディスクでいちばん端的にそれを示す部分を挙げろと言われれば「衣裳をつけろ」のアリアから終幕にかけての間奏曲のところ、ということになる。

レオンカヴァルロの「道化師」は、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」と並ぶヴェリズモ・オペラの傑作であるが、主人公であるカニオはデル・モナコのはまり役であり、1957年に録音されたブラデッリ盤が歴史的な名盤として知られている。

しかしながら、指揮者の芸格やオーケストラの優秀さ、他の歌手陣の素晴らしさなどを考慮すれば、筆者は、本盤の方を上位に置きたいと考えている。

ということは、本盤こそ、「道化師」の随一の名演ということになる。

本演奏の成功は、何よりも、ベルゴンツィの迫真の歌唱によるところが大きい。

確かに、デル・モナコと比較して様々な批判をすることは容易であるが、これだけの熱唱を披露されると、決して文句は言えまい。

第2幕の第2場の、劇中劇と現実の見境がつかなくなる箇所の鬼気迫る歌唱は圧倒的なド迫力であり、カラヤン指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団ともども、最高のパフォーマンスを示していると言えよう。

次いで素晴らしいのはトニオ役のタッディ。

道化師の影の主役であるトニオの屈折した性格を、絶妙な歌唱によって巧みに表現していく。

ネッダのカーライルやシルヴィオのパネライなど、脇を固める歌手陣も豪華そのものであり、ミラノ・スカラ座の合唱陣も実に優秀だ。

壮年期のカラヤンの生命力溢れるエネルギッシュな指揮ぶりもさすがと言うべきであり、前述のように、「道化師」の史上最高の超名演として高く評価したい。

シリアスな心理劇として、一味もふた味も深みを増した歌手陣の高度な演技とともに、聴き手の心理操作に長けたカラヤンの魔術に引きずり込まれる。

大指揮者が自分好みの歌手を起用して作り上げた個性的な演奏として、歴史に残る録音と言えるだろう。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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