2015年01月11日

ブレンデルのシューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」、モーツァルト:ピアノと管楽のための五重奏曲


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ブレンデル絡みの室内楽曲2曲をカップリングしたディスクであるが、特にシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」は、録音当時新鋭のクリーヴランド四重奏団員とブレンデルの息が合った見事な名演である。

けれん味のない颯爽とした演奏が心地良く、シューベルトの清々しいロマンティシズムを余すことなく表出した演奏として高い評価を得たもので、「ます」の様々な演奏の中でも、トップの座を争う名演と高く評価したい。

成功の要因は、ブレンデルのピアノということになるであろう。

既に引退を表明したブレンデルは、シューベルトのピアノ曲を好んで採り上げたピアニストであったが、必ずしも常に名演を成し遂げてきたわけではない。

例えば、最後のピアノソナタ第21番など、他のライバル、例えば、内田光子やリヒテルなどの綺羅星のように輝く深みのある名演などに比べると、踏み込みの甘さが目立つ。

いつものように、いろいろと深く考えて演奏をしてはいるのであろうが、その深い思索が空回りしてしまっている。

やはり、シューベルトの天才性は理屈では推し量れないものがあるということなのではないだろうか。

しかし、本盤のブレンデルについては、そのような欠点をいささかも感じさせない。

それは、ブレンデルが、クリーヴランド四重奏団員の手前もあると思うが、いたずらにいろいろと考えすぎたりせず、楽しんで演奏しているからにほかならない。

シューベルトの室内楽曲の中でも、随一の明るさを持つ同曲だけに、このような楽天的なアプローチは大正解と言えるところであり、それ故に、本演奏が名演となるに至ったのだと思われる。

ウィーン人はシューベルトに対して独特の感覚(自分たちの音楽)を持つと言われているが、まさにこの演奏のブレンデルがそのことを証明しているようだ。

クリーヴランド四重奏団員も、ブレンデルのピアノと同様に、この極上のアンサンブルを心から楽しんでいる様子が窺えるのが素晴らしく、弦の響きが締まっていて、渋めだが、密度が高くて清潔感のある演奏だ。

ブレンデルのピアノと弦楽器が見事に調和した馥郁とした演奏に心を奪われる。

スケールが大きく、ダイナミズムと叙情のバランスがポイントで、息の長いブレンデルの歌い込みをクリーヴランドのメンバーがフレッシュな表情で支えている。

ノリに乗って、美しい音で爽快に進んでいき、聴き終えた後の感じも、まさに爽快そのものである。

一方モーツァルトは、ふんわりと包み込むように暖かい管楽器の響きが印象的で、特にゆったりとした第2楽章が美しい。

20世紀後半に活躍した名ピアニストの1人ブレンデルの風雪に耐えた名演として、また名曲「ます」のオーソドックスだがモダンで生き生きとした代表的名演として、お薦めする1枚である。

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classicalmusic at 00:49コメント(3)トラックバック(0)ブレンデル | シューベルト 

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2014年02月20日 14:05
モーツァルトが生前最も気に入っていた作品と言うこともあり、ピアノと管楽器のための五重奏曲はとても好きです。
大学卒業後、ブル8に夢中になっていた頃に聴き始め、去年の今頃、何故モーツァルトが生前自分の最高傑作と考えたのか、考えながら聴いた記憶がありますね。ピアノをオケに置き換えれば協奏交響曲風であり、それがピアノ五重奏と言う室内楽に枠に入るため、極めてカテゴリーも特殊で。各々のパートが、ソリスティックに、結果としても、ホモフォニックに、メロディの重ね合わせ方からポリフォニックにもなって、メロディもハーモニーも素晴らしいですが、なんと玄人な作品でしょう。私は、レヴァインの演奏で聴いていますが、オススメはありますでしょうか。
2. Posted by 和田   2014年02月20日 15:51
ピアノと管楽器のための五重奏曲に関しては、ブレンデル盤以外特にコメントできるものはありません。
しかし私としては果たしてこの曲がモーツァルトの最高傑作かと問われれば疑問です(確かに玄人好みではありますが)。
モーツァルトの作品全体を俯瞰してみれば、他にも様々なジャンルにおいて名作を遺しているのは明白なことです。

3. Posted by Kasshini   2014年03月05日 13:20
あれから、モーツァルトの作品全体、色々と調べていました。音盤に関しては、私が持っているレヴァイン盤はブレンデル盤と比べても実力拮抗と考え、保留にしています。
K452であれば、ピアノをヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバスに置き換えて後世編曲した作品に聴き入ったり。
18歳、19歳のモーツァルトの宗教音楽を見ると、劫教協曲第41番終楽章同様のジュピター=クレド音型を用いた、ソナタ形式かつ4声対位法を駆使した作品を手掛けたり、短調の作品ではレクイエムのようなオーケストレーションを施したりで、モーツァルトは18-19歳の頃には技術的にはほぼ完成していて、職業作曲家として、要望に応えた結果、基本的に優美ながら極めてカメレオンのように変幻自在に作っていて、改めてJ.S.バッハも参照して深化した結果が最晩年の作品なのかなと。そう考えると、K.452は、後にも先にもないスタイルの作品だなと改めて思うようになりました。短調・長調の対比は最晩年に通じ。バセット・クラリネット誕生以前なので、クラリネットはまだまだ処方が進化しますが。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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