2015年02月06日

ハイティンク&ロンドン響のベートーヴェン:交響曲全集[SACD]


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穏健派に磨きがかかってきたハイティンクならではの実に美しいベートーヴェンの交響曲全集だ。

このベートーヴェンでは、響きに潤いのようなものもあり、少しも新しがっていないのにフレッシュな音楽になっている。

老いてますます盛んという言葉が当てはまる、しかしみずみずしくさわやかな解釈とも言えよう。

アプローチの仕方は、前2回の全集と基本的には変わらないが、「何も足さない。何も引かない。」と言った風情で、音楽的な純度が一段と高まっている。

ハイティンクが演奏の際に最も気を配る事の1つとして、楽器のバランスを挙げている。

室内楽的なアプローチとバービカンホールの残響を考えた結果、音が濁ったり、壊れたりする事を避けたくてこのような演奏スタイルになったのであろう。

これほどわめいたり咆哮したりしないベートーヴェンというのはなかなか類例は見ないのではなかろうか。

もちろん、ベートーヴェンを威圧の対象にするのはいかがとも思うが、しかし、表面的な美しさに終わってしまうのならば、ライバルとなる名演盤がひしめいているだけに、実に退屈な演奏に陥ってしまうという危険性を孕んでいる。

そして、ハイティンクは、その危険性の落とし穴にはまってしまった。

全集の中で、少し評価できるのは、「第1」、「第2」、「第6」とトリプルコンチェルトのみだ。

特に、「第6」は、穏健派のハイティンクとの相性は決して悪くなく、「田園」という曲の優美さが聴き手によく伝わってくる。

「第1」や「第2」、そしてトリプルコンチェルトは、ベストの演奏とは到底言えないものの、緩徐楽章などにはそれなりの感動がある。

しかし、その他の曲は、表層的な美しさだけが際立つ実に浅薄な凡演だ。

特に、「第3」、「第5」、「第7」など、根源的な力強さに全く欠けている。

「第9」も、あまりの軟弱さのため、最後まで聴きとおすのが実に辛かった。

ロンドンのバービカンホールは残響がデッドなのだが、楽器がよく分離されており、音がよく澄んで聴こえる。

この録音にはかえってプラスに働いたように感じたが、SACDマルチチャンネルによる高音質録音も、再生装置の善し悪しによって聴く側の印象はかなり変わるような気がするし、虚しく聴こえたのは大変残念だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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