2015年01月14日
カラヤンのJ.シュトラウスII世:喜歌劇「こうもり」
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1960年という、カラヤンがウィーン国立歌劇場の監督をしていた、名実ともにヨーロッパの楽壇の帝王であった全盛時代の精力を注ぎ込んだ名演である。
まずは主役級に当時のウィーンで活躍していたギューデンのロザリンデ、クメントのアイゼンシュタイン、ケートのアデーレなど、芝居して良し、歌って良しのウィーンっ子達を揃えているのが見逃せない。
当時のウィーン国立歌劇場の日常のアンサンブルをそのまま起用したせいで、そのまとまりとアンサンブルは、抜群の良さを示している。
それだけでも豪華なのに、カラヤンがただ者でないのは、第2幕の晩餐会のシーンで30分以上にも及ぶ「ガラ・パフォーマンス」を挿入していることである。
ここでは英デッカ専属のスター歌手を動員、テバルディ、二ルソン、デル・モナコ、ビョルリンク、バスティアニーニ、ベルガンサ、プライスなど、オペラの主役級の超豪華歌手陣を揃えている。
例えばニルソンが《マイ・フェア・レディ》の「一晩中踊れたら」、コレナがシャンソンの《ドミノ》、プライスが《サマー・タイム》を歌ったりと隠し芸大会が展開されるのだ。
《2人で習った英語で歌ってみようよ》というバスティアニーニとシミオナートの掛け合いも楽しい。
多彩なゲストたちのガラ・パフォーマンス付きのこのゴージャスな1組は贅沢な一時を楽しませてくれるので、その部分だけをとりだして聴くことも多い。
まさに当時の帝王カラヤンの有無を言わせぬ圧倒的な権威を象徴するものと言えるだろう。
そして、これら超豪華歌手陣を圧倒的な統率力で纏め上げたカラヤンの力量も驚異的の一言であり、「こうもり」という娯楽作を一流の芸術作品にまで引き上げた手腕は、さすがという他はない。
カラヤンの指揮は序曲から切れ味のある速めのテンポで進み、歌劇の臨場感を味わわせてくれる。
ウィーン・フィルも、実に躍動感溢れる演奏を行っており、「こうもり」に必要不可欠の、「会議は踊る」といった表現に相応しいウィーン風の高貴かつ優美な雰囲気の醸成にもいささかの不足はない。
ただカラヤンの旧盤に比べると、表現の柄がいくぶん大きくなっていて、その点が気にならなくもないが、いかにもカラヤンらしい、絢爛豪華な「こうもり」と言えるだろう。
「こうもり」には、クライバーの名演もあるが、歌手陣の豪華さ、そしてカラヤンの圧倒的な統率力、ウィーン・フィルの高貴にして優美な演奏に鑑みれば、カラヤンの2度目の録音となる本盤の演奏を、同曲随一の名演と評価することに躊躇しない。
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