2015年01月14日
ヨッフム&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》 、他
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「第4」はブルックナーの交響曲の入門曲と目されているだけに、古今東西のブルックナー指揮者のみならず、ブルックナーをあまり指揮しない指揮者によっても多くの録音・演奏がなされている交響曲である。
オーソドックスな名演としてはベーム&ウィーン・フィルが忘れられないし、最近では朝比奈&大阪フィルやヴァント&北ドイツ放送響(あるいはベルリン・フィルやミュンヘン・フィル)の超名演があった。
更には、ムーティ&ベルリン・フィルの意外な指揮者による異色の名演も記憶に新しい。
そのような数々の名演を聴いた上で、やはり原点にというか、故郷に帰ってくるような感慨を覚える演奏がこのヨッフム&ベルリン・フィルによる名演だ。
ドイツ・ブルックナー協会の総裁を務めていたヨッフムの、脂の乗りきっていた時期の録音。
ヨッフムはベルリン・フィルから作品の持つロマン性を導き出すのに見事に成功しており、壮大なスケールで高揚感溢れる重厚な演奏を繰り広げている。
堂々としてまことに自然な音楽のつくりであり、後年の録音より求心力のある、力強い演奏になっている。
決して派手さはなく、いわゆる巧言令色からは程遠い。
しかし、このような質実剛健たる愚直とも言うべきアプローチこそが、ブルックナーの「第4」に最も相応しい解釈と言うことができるだろう。
ヨッフムの演奏は弦楽器の音色が幾分ほの明るく、しかも透明度の高いところに特色がある。
その弦の響かせ方に南ドイツ的な軽妙なニュアンスがあると評する人もいるが、水の流れにたとえると、緑陰からさす木漏れ日を少しく浴びた清流のような感じである。
こうしたヨッフムの演奏の特色はこの「第4」に限らず、どのブルックナーの演奏にも共通するが、縦横にすぐれた大家の技倆だと思う。
忘れてはならないのは、ベルリン・フィルが重厚でパワフルないかにもブルックナーの交響曲に不可欠の好演を行っているという点だ。
ヨッフムは、その後、シュターツカペレ・ドレスデンと再録音を行っているが、統率力にいささか綻びが見られることもあり、オーケストラの技量や録音も含めて、本盤の方を上位に置きたい。
シベリウスの「夜の騎行と日の出」は、ヨッフムとしてはきわめて珍しいレパートリーと言える。
北欧の指揮者の演奏に慣れた耳からすると、いかにもドイツ的な野暮ったさを感じるが、決して凡演というわけではなく、重厚さと繊細さを兼ね備えたなかなかの佳演である。
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