2015年02月23日

ムター&カラヤンのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3&5番


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現代屈指の名ヴァイオリニストとして活躍を続けるアンネ=ゾフィー・ムターの、若干14歳(1978年時)で録音したデビュー盤。

ムターのヴァイオリンの響きがのびのびして気持ちよく、天才少女のデビュー作にありがちな才気煥発ぶりを見せつけられるという感じはなく、年齢やデビュー作であることに関係なく、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の最高級の演奏が聴ける1枚だ。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、最近では小編成やピリオド楽器による演奏が主流となり、本盤のような大オーケストラが演奏することは殆ど稀になりつつある。

若書きで、モーツァルトとしては、他の楽曲に比べると魅力が一段劣るだけに、クレーメルなどによる斬新なアプローチならともかく、矮小化したアプローチでは、楽曲の魅力がますます減じてしまう。

その意味では、このカラヤン盤は素晴らしく、大柄で厚みのあるのが特徴。

カラヤン特有のまろやかで優雅なレガートと、その圧倒的な統率力によって鍛え抜かれたベルリン・フィルの極上の音色が、モーツァルトの若書きのヴァイオリン協奏曲の魅力を引き出すことに大いに貢献している。

ムターは当時14歳であったが、カラヤンの指導の下、とても少女とは言えないような年不相応の大人の演奏を行っており、彼女の豊かな才能を感じさせている。

この時からすでに貫禄十分で、年齢からは想像できないほど安定し、かつ艶やかで、最近の録音に比べるとやや慎重な表現かもしれないが、年齢不相応の風格はやはり驚くべきことであり、張りのある音色は今と変わりない。

当時のムターの演奏は、ロマン派的ではなく、むしろバロックに近い弾むような弾き方をしている。

それが、素直で丁寧な演奏と相俟って、1音1音の粒立ちを際立たせ、他に類を見ない逸品に仕上がっている。

第3番は独奏・伴奏ともやや重厚すぎるかもしれないが、第5番はムターも含めた独奏と、曲想にふさわしい立派な伴奏ともども最上の出来であろう。

ムターは、最近になって小編成のオーケストラによって全集を録音したが、それもムターの個性がより一層深まり、その意味においては名演と言っても良いのかもしれないが、本盤のような高貴かつ優美な魅力には乏しいと言わざるを得ない。

最近のムターは、濃厚というよりも、くど過ぎる表現をしているが、このモーツァルトを録音した頃は、主張と抑制のバランスがとれていて、モーツァルトの持つ、純粋さをそのまま、素直に表現した好演である。

かつてカラヤンと共演したことのあるクリスティアン・フェラス、ゲーザ・アンダなど、その後のレコーリングが途絶えたソリストも多いことから、彼は「ソリスト潰し」と揶揄されているが、今のムターの活躍ぶりをみると決してそうではなく、彼の眼が間違っていなかったことを証明できるのではないだろうか。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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