2015年01月18日
プレヴィン&ロンドン響のショスタコーヴィチ:交響曲第5番[XRCD]
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本盤の売りは何よりもXRCDによる極上の高音質録音ということになるのではないだろうか。
本盤に収められた演奏は1965年の録音であるが、約50年近く前の録音とはとても思えないような鮮度のある高音質に生まれ変わっており、あらためてXRCDの潜在能力に驚き入った次第である。
XRCDのポリシーとしては、マスターテープに刻み込まれた原音を忠実に再現するということであり、いかに約50年近く前と言えども、マスターテープには良好な音質が記録されている証左であるとも考えられる。
現在においても、1960年代に録音された演奏を収めたCDが大量に流通しているが、SACD化されたものは別格として、本盤のような水準に達した高音質のCDは非常に少ないと言わざるを得ない。
1960年代は、ワルターやシューリヒト、クナッパーツブッシュが最後の輝きを見せるとともに、クレンペラーなどの往年の大指揮者がなお活躍していた時代である。
これらの大指揮者による名演のうち、SACD化されたのは現時点ではワルターやクレンペラーによる一部の録音に限られており、その他の大半の録音はいまだに音質の抜本的な改善が図られているとは言い難い状況にある。
今後は、マスターテープに刻み込まれた原音を忠実に再現すべく、XRCD化や、あわよくばSACD化を行うことによって、かつての名演の再生につとめていただきたいと考えている。
本盤に収められた演奏は、1965年8月に録音された若き日のプレヴィンによるショスタコーヴィチの「第5」である。
プレヴィンにとって、協奏曲を除き、RCAにおける最初のクラシック音楽のレコーディングの1つとなった。
プレヴィンにとっては、いわばRCAにおける最初の交響曲アルバムとなったもので、1960年代の絶頂期のロンドン響から、若々しく濃密なサウンドを引き出して、「20世紀最大のシンフォニスト」であったショスタコーヴィチのオーケストレーションを緻密に再現した名盤としてLP時代から高く評価されている。
プレヴィンは、クラシック音楽のみならず、多種多様な音楽のジャンルでも活躍する万能型のミュージシャンと言える。
それ故に、プレヴィンのアプローチは、楽曲の聴かせどころのツボを心得た非常にわかりやすいものと言えるだろう。
本演奏においても、プレヴィンはいささかも深刻には陥ることなく、起承転結が明快な演出巧者ぶりを発揮している。
他方、ショスタコーヴィチが同曲に込めた粛清への恐怖や、それと裏腹の強制された歓喜などとは無縁の演奏でもあり、苦悩から歓喜へという単純な図式に基づいて外面的な効果を狙った演奏に陥っているとも言えなくもない。
しかしながら、本演奏の録音当時はショスタコーヴィチがなお存命であり、その評価が定まっていない時期であったことや、プレヴィンが本演奏に示した類稀なる音楽性の豊かさ、そして前述のXRCDによる素晴らしい高音質を加味すれば、名演との評価をするのにいささかの躊躇もしない。
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