2015年05月13日

トゥルニエール&スイス・ロマンド管のグリーグ:劇付随音楽「ペール・ギュント」


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グリーグの作曲した音楽の全てをひたすら精妙かつダイナミックな鮮烈演奏で聴かせるのは、あの名門老舗楽団、スイス・ロマンド管弦楽団を雄弁・緊密に引き締める新世代指揮者トゥルニエール。

素晴らしい名演の登場だ。

かつては、グリーグの劇音楽「ペール・ギュント」と言えば、2つの組曲で演奏するのが主流であった。

わずかに抜粋版としてバルビローリ盤などがあったが、ヤルヴィによる完全全曲盤が登場するに及んで、その流れが変わってきたように思う。

その後、ブロムシュテットなどの名演も登場するなど、劇音楽全体に対する評価がかなり高まってきたと言えるのではないか。

そうした一連の流れの中での、本盤の登場であるが、フランスの新進気鋭の指揮者ならではの生命力溢れる快演と言える。

ヤルヴィ盤と異なり、セリフのみの箇所をすべて省略しているが、音楽として鑑賞するには、この方がちょうど良いと言えるのかもしれない。

それでも、長大な当劇音楽を、CD1枚に収まる75分程度で演奏したというのは、テンポ設定としても、やや速めと言えるのかもしれない。

とは言っても、若さ故の上滑りするような箇所は皆無であり、むしろ、緩急自在のテンポ設定を駆使した演出巧者といった評価が相応しいと言える。

本盤の演奏ではダイナミックなテンポ変化もみせながら、急速部分は驚くほど速く、一糸乱れぬアンサンブルの精悍さと相俟って、曲を実にエキサイティングかつ先鋭的な響きで聴かせてくれる。 

対照的に、魔王の山の場面のおどろおどろしさ、有名な朝の音楽のえもいわれぬ清らかさなど、ゆったりしたフレーズのしなやかな歌わせ方も比類なく、北欧的な透明感に満ちたえもいわれぬ美にうっとりさせられてしまう。

それに第4〜第5曲にかけての畳み掛けるような劇的な表現は、実に堂に行ったものであるし、第8曲の有名な山の魔王の宮殿にての、ゆったりとしたテンポは、あたかも豹が獲物を狙うような凄みがあり、猛烈なアッチェレランドは圧巻のド迫力、合唱団も実に優秀で、最高のパフォーマンスを示している。

第9曲の威容はあたりを振り払うような力強さであり、第10曲の壮絶な迫力にはほとんどノックアウトされてしまう。

それと対照的な第12曲のオーゼの死の情感豊かさは、この指揮者の表現力の幅の広さを大いに感じさせるのに十分だ。

その後に続く音楽も、ここに書ききれないくらい素晴らしいが、特に、第13曲の爽快な美しさ、そして第21曲の帰郷は、圧巻の迫力であるし、第19曲や第26曲のソルヴェイグの歌、子守唄は、北欧音楽ならではの至高・至純の美を誇っている。

なにしろ楽団はアンセルメとの蜜月で知られる名門スイス・ロマンド管弦楽団であり、精妙なのは当然かもしれないが、かくも痛快な解釈でこの名門楽団をまとめてみせる若きフランスの俊英トゥルニエールの才覚には、驚くほかはない。

独唱陣も合唱団も実に上手く、本名演に華を添えているのを忘れてはなるまい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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