2015年01月24日

ポリーニのショパン:ピアノ・ソナタ第2番&第3番、舟歌


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〈葬送行進曲〉を第3楽章に据えた詩情溢れる第2番、豊かな情感と幻想に満ちた第3番。

いずれもショパン芸術の頂点を築くこの2曲のソナタは、ピアノ曲に革命的ともいえる新しい表現をもたらした天才ショパンが円熟期に書いた傑作。

ポリーニの演奏はこの革新的な作品に新たな息吹を注ぎ込んだもので、完璧な打鍵による磨き抜かれた音によって優美で詩的な作品を理想的に表現している。

ポリーニにとってショパンは特別な作曲家と言えるだろう。

ショパン国際コンクールでの優勝の後、一時表舞台から離れた後、ショパンの様々なジャンルの楽曲を、今日に至るまで、それこそ少しずつ録音をし続けてきているからである。

ポリーニのショパンは定評があるが、なかでもこのソナタ集では、落ち着きのある中にも、内に情熱を秘めた熱い演奏を聴かせてくれる。

極めてシャープで大きな表現をもつ演奏だが、磨きぬかれた技巧と、芳醇にして繊細なタッチが生みだす響きは限りなく魅力的である。

本盤は、1984年の録音で、今から30年近く前の録音だ。

特に、本盤に収められたピアノ・ソナタ第2番は、本盤から20年以上も経った2008年にも再録音しており、本盤のポリーニのアプローチは、現在の円熟のポリーニとはかなり異なるものである。

エチュードや前奏曲などにおいて、技術偏重の無機的なピアノタッチをかなり厳しく批判する声もあったが、本盤でのポリーニにおいては、少なくともそうした無機的な音は皆無であるように思う。

楽曲の内面への踏み込みといった点からすれば、特に、ピアノ・ソナタ第2番の後年の録音に比べると、いささか弱い点もあろうかとも思うが、それでも、ポリーニの、ショパンの両傑作への深い愛着と理解が十分に伝わってくる血も涙もある名演に仕上がっている。

ポリーニ特有の硬質な音は、勿論フォルテッシモの部分で非常に味わいやすいのだが、一方、弱音部でも鋼のような音の「芯」を感じることができる。

そういう「芯」がしっかりしているが故に本当に明晰な印象の演奏なのだけれど、一方でイタリア人的なノリの良さがフォルティッシモの打鍵から零れ落ちるようなところも感じられる点が、本演奏の面白さだと思う。

正確な技巧の裏返しとして「機械的」という表現で評されることが多い人が、敢えてこの表現を「人間技を越えた」という意味で肯定的に捉えて本作品を評するなら、同じ「機械」でも情緒表現を完璧に兼ね備えた「究極のサイボーグ」による演奏のような印象を受けるのである(後年になると、流石のポリーニも柔らかくなっていく訳なのだが)。

SHM−CD化によって、音質は相当に鮮明になっており、壮年期のポリーニの名演を高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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