2015年01月22日

コンドラシン&モスクワ・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲全集


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世界初のショスタコーヴィチ交響曲全集である。

ハイティンクの全集には、ロシア訛りがなくて物足りない、という人には、最適の全集であろう。

もっとも、コンドラシンの演奏は、ロシア臭だけが売り物のローカルなものでなく、いずれも非常な熱演で、純音楽的にも高い水準である。

全集完成に13年を費やしているため、演奏や録音に多少のムラはあるが、1人の指揮者が同じ楽団で、1人の作曲家の生涯の仕事を追うのは意義深いことだし、コンドラシンが、楽曲を端正・率直に表出して、豊かな音楽を歌い出す指揮者であることも適任だったと言える。

コンドラシンといえば、ショスタコーヴィチ交響曲の2つの問題作、すなわちオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」などに対して始まった当局の批判をかわすために作曲者自らが上演を取りやめた「第4」、ユダヤ人迫害というソ連政府にとって蓋をしておきたい問題提起にムラヴィンスキーが初演指揮を辞退した「第13」の気骨ある初演指揮者として、作曲者と深い心の絆で結ばれていた。

だから、と言えばこじつけのように聞こえるかもしれないが、この2曲に関して、コンドラシンの録音を無視するわけにはいかない。

「第4」は、歴史的な初演直後の録音であるが、それにしても素晴らしい作品だ。

大衆性とは無縁ながら、インスピレーションの豊富さ、斬新さ、奇抜さという点では、次作「第5」をも遥かに上回る。

終楽章の後半、ドロドロと轟くティンパニに続くトランペットの強烈な不協和音では、一瞬、地球が軌道から外れたような衝撃が走る。

コンドラシンはそうした常識で計れない作品の魅力を深部で捉え、見事に音にしており、これ以外の表現が考えられないほど的確な構築の名演だ。

有り余るエネルギーを内に湛えつつ、抑制された語り口に始まりながら、徐々に熱を帯びてくる恐ろしさ、時折、顔をのぞかせる狂気など、一級の演奏芸術作品となっているのである。

余談ながら、ムラヴィンスキーが「《第5》以前の交響曲は指揮しない」として、この傑作を無視し続けたことは、まことに残念だ。

「第13」は、1968年の録音だが、初演者としての自信と使命感に裏打ちされた立派な演奏だ。

凍てつく大地をも揺るがすようなエイゼンの独唱とコーラスは、まさにロシアの男声はかくあるべし、と思わせる。

スタジオ録音とは思えないほど緊張感の持続した演奏であるが、音質がいまひとつなのは惜しまれる。

「第8」の凄絶さも群を抜いているが、ムラヴィンスキーにだけは敵わないようだ。

残る13曲も水準を超える演奏である。

オーケストラの耳を突き刺す大音響が、ときに煙幕となって作品の理知的なフォルムを曇らせてしまうこともあるけれど。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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