2015年01月24日
ポリーニのリスト:ピアノ・ソナタ、他
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ポリーニは華麗で技巧的な作品には目もくれず、リストのもっとも実験的な作品をリストアップした。
リストの最高傑作の構造を完璧に解き明かした演奏で、リリース当時は大変な評判になったアルバムである。
曲自体も、ポリーニにぴったりな曲であり、まさに素晴らしいと思う曲しかリリースしない、そしてリリースしたからにはその演奏は頂点の演奏であるというポリーニのポリシーが今日まで貫かれているのを感じる。
リストのピアノ曲といえば、超絶技巧が有名であるが、このピアノ・ソナタは、ワーグナーと親交のあったリストのロマン派的叙情性に満ちた美しさが魅力である。
超絶技巧なら、ポリーニは難なく弾きこなせるのだが、敢えてロマン溢れるピアノ・ソナタを録音したのは、ポリーニ自身、技巧派で押し通す事を避け、レパートリーを拡げ、その音楽性を世界に知らしめたかったのではないだろうか。
リストのピアノ・ソナタは、超絶的な技巧と、強靭なトゥッティから繊細な抒情に至るまでの幅広い圧倒的な表現力を必要とする傑作だけに、古今東西のピアニストが数々の名演を遺してきた。
それ故に、同曲のあまたの名演の中で、存在感のある名演を成し遂げるのは至難の業とも言えるが、ポリーニの演奏は、いささかもその存在価値を失うことのない名演と高く評価したい。
ポリーニの演奏における超絶的な技量はまさに圧倒的だ。
ただ、近年のポリーニの演奏において、大きな欠点の1つとなっている、技量一辺倒の無機的な演奏には決して陥っていない。
それどころか、近年のポリーニには珍しいくらい思い入れたっぷりの熱い表現を垣間見せてくれている。
この録音は、ロマンティックなリストが充分表現され、その中に、ポリーニの持つ技巧と情熱のバランス感覚が発揮された名演である。
その完成度の高い演奏技術から、機械的だとか冷徹と言われ続けてきたポリー二であるが、このピアノ・ソナタを聴けば、彼がこれを弾くために存在したのだと確信する名演である。
とにかく演奏自体に隙もなければ無駄もなく、この単一楽章形式に書かれた複雑でデモーニッシュな音楽を、絶妙なバランス感覚と構築感で聴かせてくれる。
この曲は、テンポも強弱も著しく変化する劇的な楽曲であるが、ポリーニは、思い切った表現で、この激しく変転する楽想を見事に駆け抜けていく。
抒情的な箇所の美しさも出色のものであり、まるで近年の技巧派ポリーニとは別人のような芸術的な深みのある表現を成し遂げている。
情感を楽しむことはもちろんできるが、まさにこのピアニストのピアニスティックな部分が最大限楽しめる演奏とも言える。
併録の小品も、ピアノ・ソナタに優るとも劣らない名演であり、ポリーニのリストへの適性を大いに感じさせるアルバムに仕上がっている。
今後のリスト演奏を考えるとき無視できない1枚となるだろう。
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