2015年01月23日

ポリーニのシューマン:ダヴィッド同盟舞曲集、ピアノ・ソナタ第3番、クライスレリアーナ、他


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数曲において初版を使用し、ペダルの忠実な使用も含めて、シューマン演奏の究極を突き詰めた非凡な演奏を収録。

近年とみに深みを増しているポリーニの円熟を如実に伝える素晴らしい名演だ。

ポリーニの多くのアルバムの中でも最上位にランクされるCDとして高く評価したい。

心・技・体すべてが充実し、一部で囁かれ始めていたテクニックの衰えをまったく感じさせない、ポリーニ58歳時の会心の録音。

極限まで磨き上げられた完全な技巧と知的な解釈で聴かせてきたポリーニ、近年ではさらに深化を遂げた表現力によって、シューマンの作品に込められた心情の推移、詩的な世界を見事に表現し、作品の裏側にある深い情緒を見事に描き切って間然とするところがない。

響きが切り立ってピアニスティックに情動を沸き立たせる形ではなく、音色のきらめきを抑え、キメを、ふ、と抜いて音との距離を作ることで想いの行方を聴き手に預け、浪漫世界にじっくり誘い込む、語り部ポリーニを印象づける練達の熟演。

それにしても、真の理由は定かではないが、ポリーニとシューマンの相性は抜群のものがある。

本盤の前に録音されたピアノソナタ第1番も、交響的練習曲&アラベスク、そして、ピアノ協奏曲もいずれも名演であった。

ポリーニの透徹した切れ味鋭いタッチと、詩情溢れるシューマンのピアノ曲とは、基本的には水と油のような関係のように思うが、何故か、本盤を含め、録音されたいずれの楽曲も名演であり、聴いていて深い感動を覚える。

要は、ポリーニの(本人が意識しているかどうかは別として)感情移入をできるだけ避けようとするかのような客観的なアプローチが、大仰で理屈っぽい表現を避けることに繋がり、結果として、シューマンの楽曲の魅力をなにものにも邪魔されることなく、ダイレクトに満喫することができるのが功を奏していると言えるのかもしれない。

加えて、ポリーニのシューマンへの深い愛着と拘りもあると考えられ、それは、本盤において、ダヴィッド同盟舞曲集、ピアノ・ソナタ第3番、そしてクライスレリアーナの3曲で、初版を使用している点にもあらわれているのではないかと思われる。

前述のように、ポリーニは極限まで磨き上げられた完全な技巧と、近年さらに深化を遂げた表現力によって、シューマンの作品に込められた心情の推移を見事に描き切っている。

このCDを購入されたポリーニ・ファンはすでに彼が録音してきたシューマンの全作品を聴いてこられたと想像するが、ポリーニの健在ぶりに感激するに違いないであろう。

さすがとしか言いようがない素晴らしい演奏で、歴史に残る名盤がまた1枚、ポリーニによってここに誕生した。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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