2015年02月03日

バルシャイ&ケルン放送響のショスタコーヴィチ:交響曲全集


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ルドルフ・バルシャイ指揮ケルン放送交響楽団ほかによる、1992年〜2000年にデジタル録音された、ショスタコーヴィチ交響曲全集の廉価盤BOXである。

一見、地味な組み合わせだが、ショスタコーヴィチの真髄を精確に演奏している名盤と言えるだろう。

バルシャイはショスタコーヴィチに作曲を師事し、交響曲第14番『死者の歌』の初演をした、旧ソ連ラビンスク出身のヴィオラの名手にして名指揮者である。

1つ1つの交響曲が非常に丁寧に演奏されていて、全体的な出来映えが非常に高い。

演奏スタイルは、第5番を例にとると、バーンスタインのような華やかさ・流麗さではなく、むしろ重厚さ・深さに比重を置いたものとなっていて、ある意味、奇を衒わない、基本に忠実なショスタコーヴィチと言えるだろう。

中でも15曲中、最も重要な作品と言われる第4番、第8番、第10番の出来栄えは素晴らしいものがあり、第4番両端楽章でのフーガの緊迫感と声部バランスの完璧さや、第8番の2つのスケルツォ楽章における哄笑の切れ味、第10番でのテクスチュアの克明さなどまさに圧巻。

ショスタコーヴィチの語法を知り尽くしたバルシャイならではの意味深いアプローチは聴き応え十分だ。

もちろん、他の作品の出来栄えも優れたもので、迫力満点の標題交響曲としてマニアに人気の第11番『1905年』でも殺戮シーンの描写は圧倒的なものがあるし、同じく描写性の高い第12番『1917年』でも、弦楽の扱いが巧緻なぶん、構造面の魅力がよく伝わってくる。

声楽つきの第2番、第3番、第13番、第14番ではそれぞれの異なるテーマにふさわしいスタンスが取られており、特に、バルシャイ自身が作品の初演者でもある第14番『死者の歌』については、室内編成オーケストラによる多彩をきわめた音響の面白さが耳目を引く。

その他、第13番『バビ・ヤール』でのフーガや、第3番『メーデー』での文字通り行進曲風な楽想の処理、第2番『10月革命に捧ぐ』での過激な音響表出もひたすら見事。

第1番、第6番、第9番の3曲は、いずれも30分程度の規模の小さな作品ながら、聴きどころのぎっしり詰まった充実した作風ゆえファンが多い傑作。

バルシャイのアプローチも機知に富み、機敏さを決して失わないところなどは作品にまさにぴったり。

ショスタコーヴィチ最後の交響曲となった第15番では、ウィリアム・テルやマーラー、ワーグナーの引用などいつにも増してパロディ的な手法が多く使われるのだが、バルシャイの演奏は引用強調を主眼としないシリアスなものとなっている。

天才ショスタコーヴィチの交響曲を深く知ってみたいと思うのであれば、この作曲家にとことんこだわったバルシャイの情熱的な演奏を理解できるようにしておきたい。

ロストロポーヴィチやコンドラシンなどもショスタコーヴィチ交響曲全集を残しているが、聴きやすさという点ではこのバルシャイ盤が一番であり、特にショスタコーヴィチをまだ聴いたことがない人は、まずこの全集を聴いて気に入った交響曲を聴いていけば良いだろう。

バルシャイのショスタコーヴィチと言えば、熱気あふれる名演として有名な第7番『レニングラード』ライヴや、自身の編曲版による弦楽四重奏曲集、といったアルバムがこれまでリリースされていたが、今回のリリースは彼の実力を真に知らしめるものとして、大いに歓迎されるところだ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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