2011年05月25日
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第5番(1973年来日公演ライヴ)
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この曲は、ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルが初演して以来、ショスタコーヴィチの代表作となった。
そのためか、現在までビデオを含めると、彼らの演奏で、なんと12種類のディスクが発表されている。
そのなかでも、最高の演奏・録音がこの1枚である。
1973年5月の東京文化会館でのライヴだが、彼らの演奏はまさに絶好調で、冒頭からきわめて魅力的な表現である。
一分の隙もない鍛えに鍛え抜かれた音楽ともいえるが、非情に透明度が高く、そこに毅然とした精神性が示されている。
第3楽章などの透徹した表情は、もはや哲学的といってよい。
終楽章の驚くべき生命力の解放も雄渾をきわめた音楽を聴かせる。
アゴーギクも音楽的で、演奏の精度の高さは比類がない。
コーダでは1974年版の改訂をはやくも採用して遅いテンポで演奏されているが、そのため終結は感動的に高揚する。
この曲ではまず聴いてほしい演奏である。
冷徹、凄絶でありながら、芯に人間的な血の温もりの通っていることを教えてくれたNHKの録音とCD制作スタッフに感謝したい。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2021年01月17日 09:26

2. Posted by 和田 2021年01月17日 10:50
ムラヴィンスキーの数ある同曲録音の中から、日本でのライヴ録音が図抜けて素晴らしい、ということは実に誇らしいことですね。何度聴いてもなんと神聖な演奏でしょうか。まるで早朝の神社にお参りしたような張り詰めた空気がここにはあります。破格の技術を持つレニングラード・フィルは、決してその技を誇示することなく、ひたすら音楽のために奉仕しています。いかに低弦が唸ろうとも金管が吠えようとも、つねに格調の高さと節度を失うことがなく、「ロシアの」ということを超越した普遍的な芸術意識に貫かれています。
もっとも胸打たれる瞬間のひとつは、第1楽章後半のフルート・ソロ(ムラヴィンスキー夫人)とホルンの対話の部分です。ヴィブラートの抑制された清冽なフルートの調べは、指揮者との愛の交歓のようで、聴きながら切なくなってしまいます。第3楽章にも同様の場面がありますが、こんなフルートを吹かれてしまうと、ムラヴィンスキーでなくても、この人を愛してしまうに違いないでしょう。
もっとも胸打たれる瞬間のひとつは、第1楽章後半のフルート・ソロ(ムラヴィンスキー夫人)とホルンの対話の部分です。ヴィブラートの抑制された清冽なフルートの調べは、指揮者との愛の交歓のようで、聴きながら切なくなってしまいます。第3楽章にも同様の場面がありますが、こんなフルートを吹かれてしまうと、ムラヴィンスキーでなくても、この人を愛してしまうに違いないでしょう。