2023年02月23日
🗞️情熱、厳密さ、ドラマ、抒情的な美しさℹ️うねるような激情⚔️C・クライバー&ウィーン・フィル🫰ベートーヴェン:交響曲第5番&第7番[SACD]🎛️
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カルロス・クライバーという一代の天才が、まさに「天才児現る」と呼ばれた時代の記念碑として、いつまでも語り継がれる1枚。
「クラシック音楽をこれから聴いてみようか?」という初心者に特にお薦めしたい名盤で、凄く感動するのではないかと思う。
クラシックは人によっていろいろ好みが分かれることが多いが、このクライバーのベートーヴェンは素晴らしいと皆が感じることができるアルバムと言えよう。
これまでに作曲されたもっともポピュラーな、もっとも好まれている交響曲である第5番の模範的な演奏と長いことされてきたこの盤、ここには情熱、厳密さ、ドラマ、抒情的な美しさ、そしてまず出だしの音からして人を興奮させる第1楽章のうねるような激情と、すべてがそろっている。
カルロス・クライバーはその際立って優れたキャリアのなかでレコーディングをあまり行っていないが、レコード化されたものはほとんどすべて格別の出来である。
これには第7番の非常にすばらしい演奏もカップリングされていて、こちらは第5番ほどには人を感動させないが、見事な演奏のひとつであることは間違いない。
出だしからして豪快、第4楽章に至るまで力のこもった躍動的な演奏が続き溜め息が出るし、盛り上げ方が素晴らしい。
本盤に収められた両曲の名演中の名演として、世評が著しく高いだけに、これまで数々の高音質化が試みられてきたが、本盤は、究極の高音質CDとして高く評価したい。
これまで発売された高音質CDとしては、SHM−CD盤、SACDハイブリッド盤、そしてDVD−audio盤があり、特に、後者の2つにはマルチチャンネルが付いていることもあって、臨場感溢れる音質が見事であったが、本盤は、それらを凌駕する高音質と言える。
重量感においてはいささか足りない気もしないではないが、各楽器の分離や鮮明さがダントツに増している。
クライバーは、ダイナミックレンジを幅広くとる指揮者であるが、本盤の場合、通常CDでは殆ど聴き取れないような繊細なピアニッシモから、最強奏のトゥッティに至るまで、完璧に再現されている。
マルチチャンネルは付いていないものの、臨場感においても不足はなく、眼前にクライバーの颯爽とした華麗な指揮ぶりが浮かぶかのようだ。
演奏は、トスカニーニやカラヤンの系列に連なる、いわゆる音のドラマに主眼を置いたものであるが、高音質のスタジオ録音という条件を付ければ、現在においてもなお、トップの座に君臨する名演、名盤と言えるだろう。
ライヴ盤にまで裾野を広げれば、カラヤンの名演(第5番は、先般発売された来日時の1977年盤、第7番は同時期のパレクサ盤)にはさすがに劣るが、それでも、この若武者ならではの勢いのある名演は、いささかの存在価値を失うものではないと考える。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2023年02月23日 20:12

2. Posted by 和田大貴 2023年02月24日 12:56
いま、まさにこの交響曲第5番が作られつつあるのだ、という不思議な、そして間違った感覚を持ってしまうのはどうしてなのでしょう?音楽の持つ即興性を再現させるという不可能事がクライバーによって、しかもこの極度の論理性・構築性によって出来上がっている交響曲で実現されています。この曲の演奏の、20世紀の型を作り上げたとも言うべきフルトヴェングラーとトスカニーニの両極がここで結びついてしまったよう。よく聴けば、テンポを大きく動かしたり、効果を高める工夫をしたりする恣意的なところはとても少ないのですが、それでいて人間の肉体的感覚を離れた、機能としての音楽からはかけ離れています。主題の提示からして、この演奏はすでに劇的なのです。機能性がそのまま劇的感覚と結びついているという点では、交響曲第7番こそその極致であるかも知れません。確かにコンサート会場を熱狂させる最高の武器である第7番なのですが、実際には熱狂をあおるのがそのまま弱点になりがち。ところがこの演奏は、恐るべき劇的感覚によって支配されていながら、その劇的感覚が曲そのものからくる素直な表現でもあります。第1楽章が踊り出すときのめくるめく思いや、まるで一切の感傷を許さないとばかりに疾走するアレグレットの息を飲む感覚も特別ですが、やっぱり終楽章が誘う錯乱は永遠に死なないでしょう。