2015年07月14日

ワルター&コロンビア響のドヴォルザーク:交響曲第8番、第9番「新世界より」


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ドヴォルザークの交響曲は、ドイツ=オーストリア系の音楽を得意とした巨匠ワルターとしては珍しいレパートリーである。

同時代の巨匠フルトヴェングラーにとってのチャイコフスキーの交響曲のような存在と言えるかもしれない。

しかしながら、本盤に収められた「第8」は、そのようなことは感じさせないような老獪な名演に仕上がっている。

同曲に特有のボヘミア風の自然を彷彿とさせるような抒情的な演奏ではなく、むしろ、ドイツ風の厳しい造型を基本とした交響的なアプローチだ。

それでいて、いわゆるドイツ的な野暮ったさは皆無であり、ワルター特有のヒューマニティ溢れる情感の豊かさが、造型を意識するあまり、とかく四角四面になりがちな演奏傾向を緩和するのに大きく貢献している。

とりわけ感心したのは終楽章で、たいていの指揮者は、この変奏曲をハイスピードで疾風のように駆け抜けていくが、ワルターは、誰よりもゆったりとした踏みしめるような重い足取りで演奏であり、そのコクのある深みは尋常ではなく、この曲を初めて聴くような新鮮さを感じさせる。

まさに、老巨匠ならではの老獪な至芸と言えるだろう。

「新世界より」もいわゆるボヘミアの民族的な抒情性を全面に打ち出した演奏ではなく、ワルターが得意としたドイツロマン派的なアプローチによる演奏ということが言える。

同時代の巨匠クレンペラーも、「新世界より」の名演を遺したが、同じドイツ風の演奏でありながら、クレンペラーの名演は、インテンポによる荘重さを旨とした演奏であった。

それに対して、ワルターの演奏は荘重といったイメージはなく、いつものワルターならではのヒューマニティ溢れる情感豊かな演奏である。

例えば、第1楽章冒頭の導入部など、テンポや強弱において絶妙な変化を加えており、第2楽章の中間部のスローテンポと、その後主部に戻る際のテンポや、第3楽章のリズムの刻み方も大変ユニークだ。

したがって、ドイツ風の演奏でありながら、野暮ったさは皆無であり、そうした点は巨匠ワルターならではの老獪な至芸と言うべきであろう。

ただ、楽曲の性格に鑑みると、「第8」の方がワルターのアプローチに符合すると言えるところであり、「第8」と比較すると、もちろん高い次元での比較であるが、名演のレベルが一段下のような気がした。

しかしながら、いずれも歌心にあふれたドヴォルザークで、恰幅の良い堂々たる構えながら、細部まで目の詰んだ演奏は聴くたびに新しい発見をもたらしてくれる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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