2015年01月27日

ショルティのワーグナー:「ニーベルングの指環」ハイライツ


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ショルティが「ニーベルングの指環」全曲を録音して以降、カラヤンやベームの全曲録音や、過去の演奏では、クナッパーツブッシュの名演、最近では、カイルベルトの名演が発掘されたりしているが、現在においても、トップの座を譲らない永遠の名盤だ。

まぎれもなく、レコード録音史上最高の名盤と評価したい。

本盤は、そのクラシックの録音史上に残る名盤のハイライトである。

熱烈なワグネリアンでも『指環』全曲を聴くのには、相当な覚悟が必要であるが、その点で、このハイライトは有り難い。

筆者としてはショルティの全曲盤のレビューを既に書いたが、あまりに長大な作品なので、通常はこのハイライト盤を聴くことが多い。

何よりも、ホッターやフラグスタート、ロンドン、さらにはヴィントガッセン、キング、ルートヴィヒ、ニルソンといった超豪華歌手陣が素晴らしい。

歴史的なワーグナー歌手の全盛期に録音されたというのが、まずは本盤の成功の要因にあげられると思う。

次いで、ウィーン・フィルの名演が実にすばらしい。

ショルティのいささか力づくの指揮が、ウィーン・フィルの優美な音色が緩衝材になって、非常に調和のとれた演奏になっている点も見逃してはなるまい。

そして、録音の素晴らしさ。

名プロデューサーのカルショウの下、ニーベルハイムに降りていく際の金床の音色や、ニーベルング族が金を天上界に運んでいる際、アルべリヒの一喝によって逃げ惑う際の悲鳴の響かせ方、ワルキューレの騎行の立体音響など、1950年代後半〜60年代前半の録音とは思えないくらいの鮮明さであり、現在に至るまで、これを凌駕する録音が現れていないのは脅威と言うべきであろう。

この演出によって、想像的視覚効果がもたらされ、それこそがスタジオ録音における録音技術のマジックが冴えた瞬間であり、この全曲録音が評価されている決定的要素の1つと言える。

ワーグナーの良くも悪くも絶対に聴いておかなければならない音楽が、最高のスタジオ録音で残されたことを感謝すべきであろう。

これを聴くと、カルショウは歌劇場の再現では無く、映像の無い大作映画を鑑賞しているみたいな錯覚を覚える。

ステレオ初期なのに、今聴いても凄い録音であり、エンターテイメント精神溢れる効果が十二分に味わえる。

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classicalmusic at 00:54コメント(2)ワーグナー | ショルティ 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年02月17日 21:55
5 ショルティ&ウィーンフィルによる渾身の<リング>のハイライト盤で,オペラを聴かない私としては身近にワーグナーの楽劇を満喫できるCDです。仰る通り,二ルソン,ホッター,ヴィントガッセンを始めとする超豪華歌手陣!今やこんな豪華な顔ぶれは不可能では無いでしょうか。初のスタジオステレオ録音にかけるデッカの人並みならぬ決意を感じます。この歴史的イベントを任されたのは当初クナッパーツブッシュでした。しかし,彼はこの壮大なプロジェクトに興味を示さず,その任に着くことは無有りませんでした。そこで,未だ若輩だったショルティが代用されたと聞いています。そうした経緯のせいか,クナ贔屓の評論家筋には肝心のショルティの指揮は薄っぺらいと酷評されていますが,無いものねだりをしても空しいだけですね。
2. Posted by 和田大貴   2023年02月17日 23:47
クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィルがデッカに録音した『ワルキューレ』第1幕は、表現の雄大なスケール、悠揚迫らぬその足取りには本当に感嘆させられます。キャストもショルティ盤より上で、人類の宝に違いありません。ショルティ全曲盤は、プロデューサーであるジョン・カルショウの「現在望みうる最上の《指環》をレコードで再現したい」という執念のようなものが強く感じられる名盤です。それは、たんに壮大なスケールをもった記念碑的なプロダクションということだけではなく、その後予想もつかなかったような数にのぼる《指環》の全曲盤が登場しているにもかかわらず、総合的に鑑みてこのショルティ盤を超えるものがいまだにないという点において、重要な存在をなしてきています。ショルティの直情径行のダイナミックな音楽作りは、ドイツの伝統的なものとは一線を画しますが、その描写的音楽作りは、耳で聴くドラマとしての聴き易さを生み出しており、更には、プロデューサーのJ・カルショウの聴覚上の演出も一助となっています。このレコード史上最初の《指環》全曲はイギリスの雑誌が読者投票をもとに選出した20世紀の名盤ベストテンの第1位に選ばれていましたが、それは演奏だけでなく、録音、そしてとても採算が合うとは考えられなかった大作がベスト・セラーを記録し、その後のレコード界に及ぼした波及的効果などを考慮されてのことではないでしょうか。ショルティとウィーン・フィル、画期的ともいえる録音、また今振り返ると、ニルソンとヴィントガッセンが全盛期を迎え、ヴォータンのホッターが最盛期を過ぎつつあるという絶好のタイミングで録音が行なわれたのも幸いでした。ワーグナー・ファンはもちろん、ワーグナーに興味が乏しい人々にとっても、こればかりは、無視することのできないものであるといってもよいでしょう。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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